『資本論』を読む会の報告

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2010年 02月 02日

第175回 2月2日 第5章 第2節 価値増殖過程

 2月2日(火)に第175回の学習会を行いました。
 「174回学習会の報告」をもとに前回までの復習をし、「第5章第2節 価値増殖過程」の第1段落から第22段落までをレジュメにもとづく報告を受けて検討しました。議論では第7段落でマルクスが書いている例について「40ポンドの糸の価値=40ポンドの綿花の価値+1紡錘の価値 というのは分かりにくい。後から出てくる糸の価値についてのことを考慮すれば 32ポンドの糸の価値=40ポンドの綿花の価値+1紡錘の価値 というべきではないか」との意見が出されました。

以下は当日配布されたレジュメです。

                                  
『資本論』第1巻 第五章 労働過程と価値増殖過程
 第二節 価値増殖過程

     
A、 この節の目的

第1段落 商品生産において資本家が問題とする二つの点。
(1)交換価値をもつ使用価値、つまり商品を生産しようとする。
(2)剰余価値を生産しようとする。
   商品市場において購入した生産手段と労働力の価値総額よりも大きい価値を持つ商品を生産しようとする。

第2段落
 商品そのものが使用価値と価値との統一であるのと同様に、商品の生産過程は、労働過程と価値形成過程との統一である。

第3段落 こんどは、生産過程を価値形成過程として考察する。

B、生産手段の価値の移転

第4段落 まず、生産物に対象化されている労働を計算する。

第5段落 糸をとってみる。

第6段落 糸の製造のためには、
(1)原料である綿花10ポンドを、10シリングで購入する。
(2)紡錘量を、2シリングで購入する。この額は、綿花の加工中に消費尽くされたもの、および充用された他のすべての労働手段を含む。
(3)したがって、生産物である糸の価値には、10+2=12シリングがさしあたり、含まれているのであり、24時間、2労働日が対象化されている。

第7段落 糸に転化された綿花および紡錘の価値は変化しない。
 40ポンドの糸の価値=40ポンドの綿花の価値+1紡錘の価値 とすれば、
 10ポンドの糸の価値=10ポンドの綿花の価値+1/4紡錘の価値である。

第8段落 したがって、糸の生産に必要な労働時間のうちには、綿花および紡錘の生産に必要な労働時間が含まれる。

第9段落 糸の生産に必要な労働時間は、
(1)原料である綿花および、消耗された紡錘量を生産する労働時間(過去完了)と、
(2)糸を作るための労働時間、つまり、紡績の労働時間(現在完了)が含まれる。

第10段落 それゆえ、12シリングの価値で表現される綿花および紡錘の価値は、糸価値の構成部分をなす。
〔こうして、糸を生産するために必要な労働時間においては、原料および労働手段の生産のための労働過程や糸をつむぐための労働過程という、時間的にも空間的にも分離された特殊な労働過程が、あたかも同一の労働過程の継起的段階であるかのようにみなされるのである。それぞれの生産に必要な労働時間は価値として対象化されるがゆえに、綿花および紡錘という生産手段の価値は、糸という生産物の価値の成分をなしているのである。〕(『資本論体系3剰余価値・資本蓄積』有斐閣、27頁)

第11段落 糸の生産のための二つの条件。
(1)綿花と紡錘は、糸という使用価値の生産に役立つこと、
(2)与えられた社会的生産諸条件のもとで、必要な社会的労働時間だけが費やされること。

第12段落 生産手段の価値は、糸の価値を構成している。
 次に、紡績工の労働が綿花に付け加える価値部分が問題である。

C、価値を形成する労働

第13段落 紡績工の労働が価値形成的である限り、その労働の質、性状、内容は問題でなくなる。
 労働の量が問題となる。紡績労働は、綿花栽培労働や紡錘製造労働と同一である。

第14段落 労働過程のなかでは、労働は運動の形態から、対象性の形態に転化される。
 1時間の終わりには、紡績運動は、ある分量の糸に表わされる。
 ここでは、紡績という独特の労働ではなく、労働の支出である限り意義を持つ。

第15段落 綿花から糸に転化するには、社会的に必要な労働時間だけが、価値を形成するものとして計算に入る。

第16段落
 原料は、一定分量の労働の吸収者としてのみ意義を持つ。

第17段落 ここでは、紡績労働やその材料が綿花であり、その生産物が糸であるということはどうでもよいことになる。

第18段落 6時間の紡績労働によって、10ポンドの綿花を10ポンドの糸に転化する。
 この6労働時間は、3シリングであり、綿花には3シリングの価値が付け加えられる。(価値形成過程)

第19段落 生産物である10ポンドの糸の総価値を調べる。(総価値は、15シリング)
(1)10ポンドの糸には、2労働日と1/2労働日が対象化されている。
(2)その内わけ、2労働日は、綿花と紡錘量である(12シリング)。
   6時間の紡績労働によって、新しく付け加えられた価値(3シリング)

D、以上の考察の結論

第20段落 わが資本家は、愕然とする。剰余価値を生んでいないのである。貨幣は資本に転化していない。
 生産物(糸)の価値(15シリング)は前貸しされた資本の価値(15シリング)と同じである。
  15シリングが労働過程の諸要因に支出された。
  (1)10シリングが綿花に支出された。
  (2)2シリングは消耗された紡錘量に支出された。       
  (3)3シリングは6時間の紡績労働によって付け加えられた価値である。

第21段落 これは当然の結果である。

第22段落 資本家の言い分。
(1)自分の貨幣をより多くの貨幣にする意図をもって前貸しした。それができないので、これからは、自分で商品を製造する代わりに、市場で出来合いの商品を買おう。
(2)自分の節欲を考えてもらいたい。15シリングを生産的に消費し、糸をつくったのだ。
(3)自分が労働者に材料を与え、それによって彼の労働を体化することができたのではないか。自分が役に立ったことを勘定に入れてはいけないのか。
(4)資本家は、みずから、労働したのではないか?紡績工に対する監視・監督の労働を行ったのではないか。この自分の労働もまた価値を形成するのではないか?

                                  
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by shihonron | 2010-02-02 23:30 | 学習会の報告


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