『資本論』を読む会の報告

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2010年 05月 11日

第187回 5月11日 第14章 ・第15章 労働力の価格と剰余価値との量的変動

5月11日(火)に第187回の学習会を行いました。
「第14章 絶対的および相対的剰余価値」の第18段落から最後(第29段落)までを輪読して検討、レジュメに基づいた報告を受け、「第15章 労働力の価格と剰余価値との量的変動」の第1節から第3節までを検討しました。

以下は当日配布されたレジュメです。


第15章 労働力の価格と剰余価値との量的変動

■フランス語版(第17章)ではタイトルは「剰余価値と労働力の価値との間の量的比率に
おける変動」となっている。

★さらに立ち入って剰余価値率の変動を考察の対象にしているといえるのではないか?

前文

第1段落・労働力の価値は、平均労働者の習慣的に必要な生活手段の価値によって規定されている。
・この生活手段の量は、一定の社会の一定の時代には与えられていて、不変量とみなされる。
・この生活手段の価値は変動することがありえる。
・このほかに、生産様式につれて変わる労働力の育成費と労働力の自然的相違(性や年齢)の二つが労働力の価値規定に参加する。
・これら二つの要因は以下の研究では除外されている。

★生活手段の価値の変動による労働力の価値の変動のみを取り上げて考察する。

第2段落
・(1)商品は価値どおりに売られる。(2)労働力はその価値よりも低くなることはない。を前提にする。
・労働力の価格と剰余価値との相対的な大きさは次の3つの事情に制約される。
 (1)労働日の長さ、すなわち労働の外延量
 (2)労働の正常な内包量。したがって一定の時間に一定の労働量が支出されるということ。
 (3)労働の生産力。したがって生産条件の発展度に従って同量の労働が同じ時間に供給する生産物    の量が大きかったり小さかったりすること

第1節 労働日の長さと労働の強度とが不変(与えられていて)で労働の生産力が可変である場合

第1段落・この前提のもとでは労働の価値と剰余価値とは3つの法則によって規定されている。
・第1に、与えられた長さの1労働日は、たとえどのように労働の生産性が、またそれにつれて生産物量が、したがってまた個々の商品の価格が変動しようとも、つねに同じ価値生産物に表される。

第3段落
・第2に、労働力の価値と剰余価値とは互いに反対の方向に変動する。
・労働力の価値(必要労働時間)と剰余価値(剰余労働時間)の和が1労働日の価値生産物(新価値)。

第4段落
・1労働日の価値生産物が不変量であるとすれば、この不変量は剰余価値と労働力の価値との合計に等しく、一方が減少しなければ、他方が増加することはできないということは自明である。
・このような事情のもとでは、絶対量の変動は、労働力の価値のそれであろうと、剰余価値のそれであろうと、同時にそれらの相対的なまたは比較的な量が変動しなければ、不可能である。

第5段落
・労働の生産力が上がることなしには、労働力の価値が下がることはできないし、したがって剰余価値が上がることはできない。
・労働の生産性の増進は労働力の価値を低下させ、したがって剰余価値を増進させるが、逆に生産性の減退は労働力の価値を高くして剰余価値を減少させる。

第6段落

・リカードは、剰余価値または剰余労働の大きさの変動は、労働力の価値または必要労働の大きさが逆の方向に変動することを条件とするとはいえそれだから両方が同じ割合で変動することは決してないということを見落としていた。
・両方とも同じ大きさだけ増加または減少する。しかし、価値生産物または労働日のそれぞれの部分が増加または減少する割合は、労働の生産力の変動が生ずるよりも前から行われていた最初の分割によって決まるのである。

 12時間労働日 V=8時間(4シリング)・M=4時間(2シリング)  V:M=2:1
       ↓
 12時間労働日 V=6時間(3シリング)・M=6時間(3シリング)  V:M=1:1
         Vは25%低下     Mは50%上昇

・労働日の生産力におけるある与えられた変動の結果として生ずる剰余価値の増加または減少の割合は、労働日のうち剰余価値に表される部分が最初に小さければ小さいほど大きく、最初に大きければ大きいほど小さい。

第7段落・第3に、剰余価値の増加または減少は、つねにそれに対応する労働力の価値の低下または上昇の結果であって、けっしてその原因ではないのである。

第8段落
・労働力の価値と剰余価値との絶対的な量的変動はそれらの相対的な大きさの変動なしには不可能だとすれば、今度は、労働力の価値と剰余価値との相対的な価値量の変動は労働力の価値量の変動なしには不可能だということになるのである。

第9段落
・剰余価値の量的変動の限界は、労働力の新たな価格限界によって与えられている。しかし、事情がこの法則の作用することを許す場合にも、色々な中間運動が起こりうる。労働の生産力が高くなったために、労働力の価値が4シリングから3シリングに低下しても、労働力の価格は3シリングにまで下がらない(剰余価値が1シリングは増加しない)ことがありうる。3シリングを低落の最低限界とする低落の程度は、一方の側では資本の圧力が、他方の側では労働者の抵抗が秤の皿に投げ込む相対的な重さ(簡単に言えば力関係)によって定まる。

第10段落

・労働力の価値は一定量の生活手段の価値によって規定されている。
・労働の生産力につれて変動するのは、この生活手段の価値であって、その量ではない。
・その量そのものは、労働の生産力が高くなれば、労働力の価格と剰余価値とのあいだになんらかの量的変動がなくても、労働者にとっても資本家にとつても同時に同じ割合で増大することがありうる。
・労働日の分割が元のままならば、ただ、両者のそれぞれが、量は2倍になったが価格はそれだけ安くなった使用価値に表されるだけであろう。労働力の価格は変わらないとはいえ、それは労働力の価値よりも高くなっているであろう。
・労働力の価格は、労働の生産力が高くなる場合には、労働者の生活手段量が同時に引き続き増大するにつれて絶えず下がるということもありうるであろう。
・しかし、相対的には、すなわち剰余価値に比べれば、労働力の価値は絶えず下がってゆき、したがって労働者と資本家の生活状態の隔たりは拡大されるであろう。

★ここでは、価値ではなく、価格ではないのか? フランス語版では価格になっている。

・労働の生産性が2倍になると、労働力の価値は2分の1に低下する。しかし、労働力の価格は2分の1にまで低下せず25%だけ低下する場合もありうる。

A 12時間労働日 V=8時間(4シリング、400単位の使用価値)・M=4時間(2シリング、200単位の使用価値量)   
       ↓
B 12時間労働日 V=6時間(労働力の価値2シリング+1シリング=3シリング、600単位の使用価値)・M=6時間(3シリング、300単位の使用価値)  

AからBへの変化において、労働力の価格は25%下落するが、入手できる生活手段の量は50%増大する。しかし、労働力の価格は、剰余価値の200%から100%に減少する。

第11段落・リカードは前記の3つの法則をはじめて厳密に定式化した。
・彼の説明の欠陥は、(1)法則が妥当する場合の特殊な諸条件を、資本主義的生産の自明な一般的な諸条件とみなしているということである。労働日の長さの変動や労働の強度の変動を見落とし、労働の生産力だけが唯一の可変的要因とされた。
・(2)他の経済学者たちと同様に、剰余価値を、そのものとしては、すなわち利潤や地代などのようにその特殊形態から独立には研究したことがなく、剰余価値に関する諸法則を直接に利潤率の諸法則と混同している。

第2節 労働日と労働生産力とが不変で労働の強度が可変である場合

第1段落
・労働の強度の増大は、同じ時間内の労働支出の増加を意味する。
・強度のより大きい労働日は、同じ時間のより小さい労働日に比べて、より多くの生産物に具体化される。
・生産物には相変わらず同量の労働がかかるのでその価値は元と変わらない。
・生産物の数は、この場合には、生産物の価格が下がることなしに、増加する。
・時間数が元のままならば、強度のより大きい労働日はより大きい価値生産物に具体化され、したがって、貨幣の価値が元のままならば、より多くの貨幣に具体化される。
・この労働日の価値生産物は、その強度が社会的標準度からどれだけずれるかによって、違ってくる。
・だから、同じ労働日が以前のように不変な価値生産物に表されるのではなく、可変なか生産物に表される。
・もし1労働日の価値生産物が、変わるならば、この価値生産物の両部分、労働力の価値と剰余価値とは、同じ程度であろうと違った程度にであろうと、同時に増大しうることは明らかである。

A 価値生産物6シリング=労働力の価格3シリング+剰余価値3シリング

B 価値生産物8シリング=労働力の価値4シリング+剰余価値4シリング

・労働力の価格が上がることは、この場合には必ずしもその価格が価値を超えて上がることを含んではいない。
・逆にその価格の上昇が、その価値よりも下への低下をともなうこともあり得る。
・これは、労働力の価格上昇が労働力の速められた消耗を償わない場合には、いつでも起きることである。

第2段落
。一時的な例外はあっても、労働の生産性の変動が労働の価値の大きさの変動をひき越し、したがってまた剰余価値の大きさの変動をひき起こすのは、ただ、その産業部門の生産物が労働者の習慣的な消費に入る場合だけである。

・強度の変化する場合には、この制限はない。
・労働の量の変動が外延的であろうと内包的であろうと、その量的変動には、労働の価値生産物の大きさの変動が、この価値を表す物品の性質にはかかわりなく、対応するのである。

★必要生活手段を生産する部門で用いられる機械を製造する産業部門での労働の生産力の上昇は、必要生活手段の価値を低落させ、労働力の価値を低下させるのではないか。ここでは価値移転については度外視しているということだろうか?

★労働量の外延的変動(増加)とは、労働時間の延長のことであり、内包的変動(増加)とは、労働の強度の増大のことだろうか? 前文の第2段落参照

第3段落・労働の強度がすべての産業部門で同時に同程度に高くなるとすれば、新たなより高い強度が普通の社会的標準度になり、したがって外延量としては数えられなくなるであろう。
・しかし、その場合にも労働の平均強度が国によって違うことに変わりはなく、したがってそれはいろいろに違った各国の労働日への価値法則の適用を修正するであろう。
・強度のより大きい一国の1労働日は、強度のより小さい他の国の1労働日に比べれば、より大きい貨幣表現に表されるのである。

★高い強度の労働を外延量として数えるとは、例えば強度の高い12時間の労働量が標準的な強度の18時間の労働と等しいものとしてして評価されるということだろうか?

■「第13章 機械と大工業 第3節 機械経営が労働者に及ぼす直接的影響 c 労働の強度」の第2段落《このような、与えられたある時間内により大量の労働が圧縮されたものは、いまや、そのとおりのものとして、つまりより大きい労働量として、数えられる。「外延的な大きさ」としての労働時間の尺度と並んで、今度はその密度の尺度が現れる》という箇所につけられた註157の中では次のように述べられている。《価値尺度としての労働時間への影響が生ずるのは、ここでもまた、内包的な大きさと外延的な大きさとが同じ労働量の二つの正反対で互いに排除し合う表現として表れるかぎりでのことである。》(国民文庫309-400頁・原頁432-433)

第3節 労働の生産力と強度が不変で労働日が可変である場合

第1段落・労働日は二つの方向に変化することがありうる。それは短縮されるかまたは延長されることがありうる。

第2段落・(1)労働の生産力と強度とが変わらない場合の、労働日の短縮は、労働力の価値を、したがってまた必要労働時間を変化させない。
・それは剰余労働を短くし、剰余価値を減らす。剰余価値の絶対量とともにその相対量も、すなわち労働力の不変な価値量に対する剰余価値量の割合も減少する。
・ただ労働力の価値をその価格よりも低く押し下げることによってのみ資本家は損害を免れることができるであろう。

第3段落
・労働日の短縮に反対するすべての決まり文句は、この現象はここで前提されているような事情のもとで起きるものと想定しているのであるが、現実にはこれとは反対の労働の生産性や強度の変動が労働日の短縮に先行するか、またはすぐそのあとに起きるのである。

第4段落・(2)労働日の延長。
 A 12時間労働日 V=6時間(3シリング)・M=6時間(3シリング)  M=V
       ↓
 B 14時間労働日 V=6時間(3シリング)・M=8時間(3シリング)  M=1.5V

・労働力の価格が変わらないならば、剰余価値の絶対量とともにその相対量も増大する。
・労働力の価値量は、絶対的には変わっていないにもかかわらず、相対的には下がっている。
第1節の諸条件のもとでは、労働力の相対的価値量は、その絶対量の変動なしには変動しえなかった。
・ここでは、それと反対に、労働力の価値量の相対的な変動は、剰余価値の量の絶対的な変動の結果なのである。

第5段落
・1労働日を表す価値生産物は、労働日そのものが延長されるにつれて増大するのだから、労働力の価格と剰余価値とは、増加分が同じであるかないかは別として、同時に増大することもありうる。
・この同時的増大は、労働日が絶対的に延長される場合とこの延長がなくても労働の強度が増大する場合である。

第6段落
・労働日が延長されれば、労働力の価格は、たとえ名目的に変わらないか、または上がりさえしても、労働力の価値よりも低く下がることがありうる。
・労働力の日価値は、労働力の標準的な平均耐久力、または労働者の標準的な寿命にもとづいて評価される。
・労働日の延長と不可分な労働力の消耗の増大は、ある点までは、代償の増加によって埋め合わされることができる。
・この点を超えれば、この消耗は幾何級数的に増大してゆき、それと同時に労働力のすべての正常な再生産条件と活動条件は破壊される。
・労働力の価格と搾取度とは、互いに通約される量ではなくなる。
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by shihonron | 2010-05-11 23:30 | 学習会の報告


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