『資本論』を読む会の報告

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2011年 02月 01日

第212回  2月1日  第25章 近代植民理論

2月1日(火)に第212回の学習会を行いました。
「第25章 近代植民理論」についてレジュメに基づく報告を受け、検討しました。
以下はレジュメです。

  第二五章 近代植民理論

 (253) ここで問題にするのは,真の意味の植民地,すなわち自由な移住者によって植民される処女地である。 合衆国。そのほか栽培植民地もこの部類にはいる。

①経済学は二つの非常に違う種類の私有を原理的に混同している。その一方は生産者自身の労働に もとづくもの,他方は他人の労働の搾取にもとづくもの。後者は単に前者の正反対であるだけで はなく,ただ前者の墳墓の上でのみ成長する。 

②ヨーロッパの西部,経済学の生まれた国では,本源的蓄積の過程は多かれ少なかれすでに終了。
・そこでは,資本主義的支配体制は,国民的生産全体をすでに直接に自分に従属させているか,また は,少なくとも間接には支配している。
・この完成した資本の世界に,経済学者は,事実が彼のイデオロギーを非難する声が高くなればなる ほど,ますますやっきになり夢中になって前資本主義世界の法律観念や所有観念を適用する。

③植民地ではそうではない。
・そこでは資本主義的支配体制は,自分の労働条件の所有者として,自分の労働によって資本家を ではなく自分自身を富ませる生産者という障害にぶつかる。
・植民地ではこの二つの正反対の経済制度の矛盾が,両者の闘争のなかで現われている。
・資本家の背後に本国の権力があるところでは,資本家は,自分の労働にもとづく生産・取得様式を 暴力によって一掃しようとする。
・資本の追従者である経済学者に,本国では資本主義的生産様式を理論的にそれ自身の反対物とし て説明する任務を負わせる利害関係
・その同じ利害関係が,植民地では彼をそそのかして,二つの生産様式の対立を声高く宣言させる。
・この目的のために,彼は,労働の社会的生産力の発展や協業や分業や機械の大規模応用などは労働 者たちの収奪とそれに対応する彼らの生産手段の資本への転化なしには不可能だと指摘する。
・いわゆる国富のために,彼は人民の貧困をつくりだす人工的手段を探求する。

④E・G・ウェークフィールド(1796~1862)の大きな功績
・植民地で本国の資本主義的諸関係についての真理を発見。
・植民理論----植民地での賃金労働者の製造に努める。「組織的植民」
⑤ウェークフィールドが植民地で発見したこと
・ある人が貨幣や生活手段や機械その他の生産手段を所有していても,もし賃金労働者がいなけれ ば,この所有はまだその人に資本家の極印を押すものではない,ということ。資本は物ではなくて, 物によって媒介された人と人とのあいだの社会的関係だということ。

⑥ウェークフィールドの諸発見の理解のために,二つの前置き。
・生産手段も生活手段も,直接的生産者の所有物としては,資本ではない。それが資本になるのは, ただ,それが同時に労働者の搾取・支配手段としても役だつような諸条件があるときだけである。
・独立な自営労働者の個人的所有物としての生産手段の分散を,彼は資本の均等な分割と呼ぶ。
⑦ウェークフィールドは次のように言っている。
・資本の均分----「だれも自分の手で使えるよりも多くの資本を蓄積することには関心をもたない ----,そこでは土地所有への熱情が賃金労働者階級の存在を妨げている。」
⑧労働者が自分自身で蓄積することができるあいだは,資本主義的蓄積も資本主義的生産様式も不 可能。そのためになくてはならない賃金労働者階級がないのだから。
・古いヨーロッパでは労働者からの労働条件の収奪,したがってまた資本と賃労働とは,どのように して生みだされたのか?まったく独特な種類の社会契約によってである。アダムの時代から---- 「人類は資本の所有者と労働の所有者とに分かれた。----この分割は自由意志による了解と結合 との結果だった。」
⑨「資本の蓄積」の栄光のために人類大衆は自分自身を収奪したのである。
・この自己犠牲的狂言の本能は,ことに植民地では奔放になるにちがいない。だが,それならば,自 然発生的な植民とは反対の「組織的植民」はなんのためなのか?
・「アメリカ連邦の北部諸州では,人口の1/10が賃金労働者の部類にはいるかどうかも疑わしい。イギリスでは人民の大部分が賃金労働者から成っている。」
⑩資本の栄光のための労働人類の自己収奪本能などというものは存在しない。
・奴隷制度は,植民地の富の唯一の自然発生的な基礎。
・組織的植民はただの応急策である。
・「スペインからサント・ドミンゴへの最初の移住者たちは,労働者なしでは」(すなわち奴隷制 度なしでは)「資本は破滅するか,または少なくとも,各個人が自分自身の手で用いられるくらい の小塊に収縮したであろう。」
・「イギリス人によって建設された最後の植民地〔豪州スワン川植民地〕で実際に起きたこと---- そこでは一大資本が賃金労働者の欠乏のために滅んでしまった----そこではどの移住者も,自分 の手で用いられるよりもあまり多くの資本はもっていない。」

⑪民衆からの土地の収奪は資本主義的生産様式の基礎
・自由な植民地の本質は,広大な土地がまだ民衆の所有であり,移住者はだれでも自分の私有地にし 個人的生産手段にすることができる(あとからくる移住者も同様)という点にある。これが植民 地の繁栄の秘密でもあれば,その癌腫(資本の移住にたいするその抵抗)の秘密でもある。
・「土地が非常に安くてすべての人間が自由なところでは,そして,だれでも望みしだいに一片の土 地を自分で手に入れることができるところでは,----どんな代価ででも結合労働を手に入れるこ とが困難なのである。」

⑫植民地では労働条件とその根源である土地からの労働者の分離がまだ存在しない(あるいは散在 的にかまたは非常に局限された範囲でしか存在しない)のだから,工業からの農業の分離も農村 家内工業の絶滅もまだ生じていない
・それならば,資本のための国内市場はいったいどこから生まれてくるか?
・「(奴隷,また大きな事業のために資本と労働とを結合する奴隷使用者を別とすれば)アメリカ の人口のどの部分も農業を専業としてはいない。自分で土地を耕している自由なアメリカ人は, それと同時に他の多くの仕事をも営んでいる。家具,道具の一部分,住む家。自分の工業の生産 物をどんなに遠い市場にでも運んで行く。彼らは紡ぎ手でもあり織り手でもあり,自家用の石鹸 やろうそく,靴や衣服も自分でつくる。アメリカでは耕作が鍛冶屋や粉屋や小売商人の副業にな っていることも多い。」
⑬資本家のための「禁欲の場面」はどこに残っているだろうか?
⑭資本主義的生産の大きな長所
・絶えず賃金労働者を賃金労働者として再生産するだけではなく,資本の蓄積に比例してつねに賃 金労働者の相対的過剰人口を生産するという点にある。労働の需要供給の法則が正しい軌道の上 に保たれ,賃金の変動が資本主義的搾取に適合する限度内に制限され,資本家への労働者の社会的 従属が保証される。それは一つの絶対的な従属関係である。それを,本国にいる経済学者は,買い 手と売り手との,つまり一方は資本という商品をもっており他方は労働という商品をもっている 対等で独立な商品所持者どうしの,自由な契約関係だとうまく言いくるめる。
・植民地では多くの労働者がはじめからおとなになって生まれてくるので,絶対的人口は本国でよ りもずっと急速に増加するが,それでもなお労働市場はつねに供給不足である。労働の需要供給 の法則は破られてしまう。
・一方では,古い世界から搾取を欲し禁欲を望む資本が絶えず投げこまれてくる。他方では,賃金労 働者としての賃金労働者の規則的な再生産が,非常にやっかいで一部は克服もできない障害にぶ つかる。それどころではない(いわんや),資本の蓄積に比例しての過剰な賃金労働者の生産と は,なんということなのか! 
・今日の賃金労働者は,明日は独立自営の農民か手工業者かになってしまう。彼は労働市場から消 え去ってしまう。資本のためにではなく自分自身のために労働して,資本家さまではなく自分自 身を富ませる独立生産者への転化は,それ自身また労働市場の状態には有害な反作用をする。--- -搾取度が低くとどまり,賃金労働者の資本家への従属関係(従属感情)もなくしてしまう。

⑮ウェークフィールドの嘆き----賃金労働の供給が恒常的でなく,規則的でも十分でもない。それ は「いつでもただ小さすぎるだけではなく,不確実でもある」
・「労働者と資本家とのあいだで分けられる生産物----労働者が取る部分は,彼がまもなく資本家 になってしまうほど大きい。----ところが,普通以上に長生きしても大きな富を蓄積することが できるもの〔資本家〕は,わずかしかない。」

⑯労働者は,自分たちの労働の最大部分への支払を資本家が禁欲することを,けっして許さない。
・資本家が,自分の資本といっしょに自分の賃金労働者をもヨーロッパから輸入するとしても,どう にもならない。「彼らはまもなく賃金労働者でなくなり,独立の農民になってしまうか,または賃 労働市場で自分たちの元の雇い主の競争相手にさえなってしまう」
⑰なんという恐ろしいことだろう! 正直な資本家はわざわざ自分自身の競争相手を,自分のだい じな貨幣でヨーロッパから輸入したのだ! それではなにもかもおしまいだ! 
・ウェークフィールドの弟子のメリヴェール----古い文明国では労働者は,自由であるとはいえ,自 然法則的に資本家に従属しているが,植民地ではこの従属が人工の手段によってつくりだされな けれはならないのである。
 (268)モリナリ----単純な労働者のほうが産業企業家を搾取している

⑱植民地におけるこのような〔各人の自己労働に基づく指摘所有が支配している制度から生じる  (仏版)〕弊害の結果はなにか?
・ウェークフィールド----「分散の野蛮な制度」。無数の自営的所有者のあいだへの生産手段の分 散⇒資本の集中を破壊するとともに結合労働のすべての基礎を破壊してしまう。
・長い年月にわたっていて固定資本の投下を必要とする長期の企業は,すべて実行上の障害にぶつ かる。ヨーロッパでは資本は一瞬間もぐずぐずしてはいない。なぜならば,労働者階級は資本の 生きている付属物になっていて,いつでもありあまっており,いつでも利用できるからである。
・植民地ではどうだ!----「われわれは,すぐにもわれわれに背を向けるだろうということがわか っている労働者たちを使ってこのような作業を始めることができたであろうか?

⑲ウェークフィールドは,イギリスの資本主義的農業やその「結合」労働をアメリカの分散的な農 民経営と見事に対比して見せたあとで,うっかりメダルの裏側まで見せている。
・彼はアメリカの民衆を裕福で独立的で企業心に富み比較的教養のあるものとして描いている。
・ところが,「イギリスの農業労働者は哀れなやつで,受救貧民である。----イギリスの農耕馬は, 一つの貴重な財産なので,イギリスの耕作者よりもずっとましな食物を与えられている。」だが, 心配することはない。国の富というのはもともと人民の貧困と同じなのだから。

⑳植民地の反資本主義的な癌腫はどうすればなおるだろうか? 
・もしすべての土地を一挙に国民的所有から私有に転化させようとするならば,それは,たしかに悪 弊の根源を絶やすことになるであろうが,しかしまた----それは植民地をも滅ぼしてしまうであ ろう。
・一石二鳥,それがわざというものである。
・政府の力で処女地に需要供給の法則にはかかわりのない価格をつけ,この人為的な価格のために, 移住者は土地を買って独立農民になれるだけの貨幣をかせぐまでには今よりももっと長く賃労働 をしなければならなくなるとしよう。

・他方,政府は,賃金労働者にとって相対的に禁止的な価格で地所を売却することから生ずる財源, つまり神聖な需要供給の法則の侵害によって労賃からしぼり取られるこの貨幣財源を,それが大 きくなるのと同じ割合でヨーロッパから植民地に貧民を輸入して資本家さまのために彼の賃労働 市場をいっぱいにしておくために,利用するとしよう。
・これが「組織的植民」の大きな秘密なのである。ウェークフィールドは勝ち誇って次のように叫 んでいる。「この案によれば,労働の供給は恒常的で規則的になるにちがいない。なぜかといえ ば,第一には,労働者は労働して貨幣をかせいでからでなければ土地を手に入れることができない のだから,すべての来住労働者は,賃金を得るために結合労働する⇒雇い主のために資本を生産。 第二には,賃労働をやめて土地所有者になろうとする人は⇒土地を買い入れること自体によって, 新たな労働を植民地に誘致するための財源を保証。」

21国家の定める土地価格はもちろん「十分」(sufficient price)でなければならない。すなわち 「労働者たちにたいして,他の人々がやってきて賃労働市場で彼らの代わりをするようになるま では彼らが独立農民になることを妨げるほどに」高くなければならない。この「十分な土地価  格」というのは,労働者が賃労働市場から田舎にひっこむ許しをもらうために資本家に支払う身 のしろ金を婉曲に言い換えたものにほかならない。

22このウェークフィールド氏によって特に植民地用として処方された「本源的蓄積」の方法を,イ ギリス政府が多年にわたって実行してきたということは,きわめて特徴的である。もちろん,その 失敗は,ピール銀行法の失敗と同じように不名誉なものだった。移民の流れが,ただイギリスの植 民地から合衆国のほうに向きを変えられただけのことだった。
・その間に,ヨーロッパでの資本主義的生産の進展は,政府の圧力の増大をも伴って,ウェークフィ ールドの処方を不要にしてしまった。
・一方では,毎年アメリカに向けて追い出される絶えまない大きな人間の流れが,合衆国の東部に停 滞的な沈澱を残している(ヨーロッパからの移民の波が,西への移民の波よりももっと急速に東 部の労働市場に投げ込むからである)。
・他方では,アメリカの南北戦争は莫大な国債を伴い,またそれとともに租税の重圧,卑劣な金融貴 族の製造,鉄道や鉱山の開発のための山師会社への公有地の巨大な部分の贈与など----要するに 最も急激な資本の集中を伴った。
・こうして,この大きな共和国も,労働者移民にとっての約束の地ではなくなった。そこでは,賃金 引き下げや賃金労働者の従属はまだまだヨーロッパの平均水準まで落ちてはいないとはいえ,資 本主義的生産は巨人の足どりで前進している。
・ウェークフィールド自身もあのように激しく非難しているような,イギリス政府の手による貴族 や資本家への植民地未耕地の恥知らずな投げ売りは,ことにオーストラリアでは,金鉱が引き寄せ る人間の流れや,イギリス商品の輸入がどんなに小さな手工業者でも相手にして行なう競争とい っしょになって,すでに十分な「相対的過剰労働者人口」を生みだしているのであって,ほとんど 毎回の郵便船がオーストラリア労働市場の供給過剰という凶報を運んでくるほどである。

23われわれの関心----旧世界の経済学が新しい世界で発見し声高く宣言したあの秘密
・資本主義的生産・蓄積様式は,したがってまた資本主義的私有も,自己労働にもとづく私有の絶滅, すなわち労働者の収奪を条件とするということ。
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by shihonron | 2011-02-01 23:30 | 学習会の報告


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