『資本論』を読む会の報告

shihonron.exblog.jp
ブログトップ
2011年 07月 05日

第229回 7月5日 第7章 回転期間と回転数 第8章 固定資本と流動資本

7月5日(火)に第229回の学習会を行いました。
「第7章 回転期間と回転数」と「第8章 固定資本と流動資本 第1節 形態上の相違」の第1段落から第15段落までについてレジュメに基づく報告を受け検討しました。

以下はレジュメです。

    第7章 回転期間と回転数

(1)すでに見たように、与えられた一資本の総流通期間は、その資本の流通期間と生産期間との合計に等しい。それは、一定の形態で資本価値が前貸しされる瞬間から、過程を進行する資本価値が同じ形態で帰ってくるまでの期間である。

★ここで《一資本の総流通期間》とよばれているものは、第5章第1段落では《資本がその循環を描く総期間》とよばれていた。他の箇所では《総流通期間》に代えて《回転時間》としている。
 
(2)資本主義的生産の規定的な目的は、常に前貸価値の増殖であって、この価値が独立な形態すなわち貨幣形態で前貸しされようと、それが商品で前貸しされてその価値形態は前貸しされる商品の価格のうちにただ観念的な独立性をもつだけであろうと、それに変わりはないのである。どちらの場合にも、この資本価値はその循環中に色々な存在形態をとって行く。それの自分自身との同一性は、資本家の帳簿の中で、または計算貨幣の形で、確認されるのである。

★商品で前貸しされるのは、循環Ⅱ(P…P循環)である。後の第5段落では《素材的生産要素の姿》で前貸しされるという表現がされている。資本価値がとる《色々な存在形態》とは、貨幣資本、生産資本、商品資本という形態のこと。
 
(3)G・・G’という形態をとってみてもP・・Pという形態をとってみても、どちらの形態も、(一)前貸しされた価値が資本価値として機能して自分を増殖したということ、(二)この価値はその過程を描いた後には過程を開始したときの形態に帰っているということを含んでいる。前貸しされた価値Gの増殖と、同時にまたこの形態(貨幣形態)への資本の復帰とは、G・・G’では手にとるように明らかである。しかし、同じことは第二の形態でも行なわれる。なぜならば、Pという出発点は、生産要素の存在であり、与えられた価値の諸商品の存在だからである。この形態は、この価値の増殖を含んでおり(W’とG’)、また元の形態への復帰を含んでいる。なぜならば、第二のPでは、前貸しされた価値は、最初に前貸しされたときの生産要素という形態を再びとっているからである。

★ ・貨幣資本の循環の一般的定式
   G―W<A Pm…P…W’―G’

  ・生産資本の循環の一般的定式 (国民文庫148頁・原頁90)
   P…W’―G’・G―W<A Pm…P(P’)
 
(4)前にも見たように、「もし生産が資本主義的形態のものであれば、再生産もそうである。資本主義的生産様式では労働過程はただ価値増殖過程の一手段として現われるだけであるが、同様に再生産もただ前貸価値を資本として、すなわち自己増殖価値として再生産するための一手段として現われるだけである。」(第1部第21章、588ページ。)
 
(5)Ⅰ G・・G’、Ⅱ P・・P、 Ⅲ W’・・W’という三つの形態は、形態Ⅱ(P・・P)では過程の繰り返しすなわち再生産過程が現実的なものとして表わされているが、形態Ⅰではそれがただ可能性として表わされているだけだということによって、区別される。ところがまた、この両形態は、前貸しされた資本価値――貨幣としてであろうと素材的生産要素の姿でであろうと――が出発点となり、したがってまた復帰点にもなっているということによって、形態Ⅲから区別される。G・・G’では復帰点はG’=G+gである。過程が同じ規模で更新されるとすれば、Gが再び出発点になってgは過程に入らない。そして、gがわれわれに示しているのは、ただ、Gは資本として増殖され、したがって剰余価値gを生んだが、しかしそれを自分から突き放したということだけである。P・・Pという形態でも、生産要素Pの形態で前貸しされた資本価値がやはり出発点になっている。この形態はこの資本価値の増殖を含んでいる。単純再生産が行なわれるとすれば、同じ資本価値が同じ形態Pで再びその過程を開始する。蓄積が行なわれるとすれば、P’(これは価値量から見ればG’に等しくW’に等しい)が今度は増大した資本価値として過程を開始する。だが、この過程は、以前よりも大きい資本価値で始まるとはいえ、再び最初の形態にある前貸資本価値で始まる。これに反して、形態Ⅲでは資本価値は前貸資本価値として過程を開始するのではなく、すでに増殖された資本価値として、前貸資本価値がその一部分でしかない商品形態にある富の総体として、過程を開始する。この形態Ⅲは、個別資本の運動が社会的総資本の運動との関連の中で把握される第三篇にとって、重要である。ところが、それは資本の回転の考察には利用できないのであって、資本の回転は、常に、貨幣か商品かどちらかの形態にある資本価値の前貸で始まるのであり、また常に、循環する資本価値が前貸しされたときの形態で帰ってくることを条件とするのである。循環ⅠとⅡのうちでは、剰余価値形成への回転の影響がおもに注目される限りでは前者が固持されるべきであり、生産物形成への影響がおもに注目される限りでは後者が固持されるべきである。
 
(6)経済学者たちは様々な循環形態を区別しもしなかったし、それらを資本の回転に関連させて別々に考察しもしなかった。普通はG・・G’という形態が取り上げられるのであるが、そのわけは、この形態が個々の資本家を支配しているからであり、また、資本家の計算では、貨幣がただ計算貨幣の姿で出発点になるだけの場合にも、この形態が彼に役立つからである。また、他の経済学者たちは、生産要素の形態での支出から出発して還流が行なわれるまでを考察してはいるが、その場合にも商品なり貨幣なりでの還流の形態には少しも触れていない。たとえば次のように言っている。
 
 「経済循環・・・・すなわち、支出がなされるときから回収がなされるまでの生産の全経路。農業では播種期がその始まりで収穫がその終わりである。」(S・P・ニューマン『経済学綱要』、アンドーヴァおよびニューヨーク、八一ページ。)
 また他の人々はW’から始める(形態Ⅲ)。
 「生産交易の世界は、われわれが経済循環と呼ぼうとする一つの円形をなして回転しているものと見ることができる。そして、この循環は、事業が次々に幾つもの取引を経て再びその出発点に到達する毎に、一回転を終わったことになる。出発点としては、資本家の得た収入によって彼の資本が彼の手に還流してくる点をとることができる。彼はこの点から出発して再び彼の労働者たちを雇い入れ、彼らの生計の資を、またはむしろ生計の資を手に入れる力を、労賃として彼らに分け与え、自分が取引する品物を彼らに製造させ、それを市場に持ち出し、この市場で商品を売り、その売上げでこの期間の彼の全投資を回収することによって、この一連の運動の循環を終わらせるのである。」(T・チャーマズ『経済学について』、第二版、グラスゴー、一八三二年、八五ページ。)
 
(7)一人の個別資本家がある任意の生産部門で投じた総資本価値がその運動の循環を描き終われば、それは再び最初の形態に帰っていて、それからまた同じ過程を繰り返すことができる。この価値が資本価値として永久化され増殖されるためには、それはこの過程を繰り返さなければならない。この一回の循環は、資本の生涯の中で、ただ、絶えず繰り返される一節、すなわち一周期をなしているだけである。G・・G’という周期の終わりには資本は再び貨幣資本の形態に帰っていて、この貨幣資本は、資本の再生産過程または価値増殖過程を含む幾つもの形態転化の列をまた新たに通ることになる。P・・Pという周期の終わりには資本は再び生産要素の形態に帰っていて、これらの生産要素は資本の更新された循環の前提になる。資本の循環が個々別々な過程としてではなく周期的な過程として規定されるとき、それは資本の回転と呼ばれる。この回転の期間は、資本の生産期間と流通期間との合計によって与えられている。この総期間は資本の回転期間をなしている。したがって、それは、総資本価値の一循環周期と次の循環周期とのあいだの間隔を表わしている。それは、資本の生活過程における周期性を、または、そう言いたければ、同じ資本価値の増殖過程または生産過程の更新、反復の時間を表わしている。
 
(8)一つの個別資本のために回転期間を速めたり縮めたりするかも知れない個人的な冒険を別とすれば、諸資本の回転期間は、それらの投下部面が違うにしたがって違っている。
 一労働日が労働力の機能の自然的な度量単位になっているように、一年は過程を進行しつつある資本の回転の自然的な度量単位になっている。この度量単位の自然的基礎は、資本主義的生産の母国である温帯の最も重要な土地果実が一年毎の生産物だということにある。
 
(9)回転期間の度量単位としての一年をUとし、ある一定の資本の回転期間をuとし、その資本の回転数をnとすれば、n=U/uである。たとえば回転期間uが三カ月ならば、n=12/3=4である。この資本は、一年に四つの回転を行なう。または四回転する。uが一八カ月ならば、n=12/18=2/3であり、言い換えれば、この資本は一年にその回転期間の三分の二だけを終える。もし資本の回転期間が何年にもわたるならば、それは一年の倍数によって計算される。
 
(10)資本家にとっては、彼の資本の回転期間は、自分の資本を価値増殖して元の姿で回収するためにそれを前貸ししておかなければならない期間である。
 
(11)われわれは、生産過程や価値増殖過程への回転の影響をもっと詳しく研究する前に、流通過程から資本に付着していてその回転の形態に影響を与える二つの新たな形態を考察しなければならない。

★《流通過程から資本に付着していてその回転の形態に影響を与える二つの新たな形態》とは、固定資本と流動資本のことであり、それは第8章で取り扱われる。
[PR]

by shihonron | 2011-07-05 23:00 | 学習会の報告


<< 第230回 7月12日 第8章...      第228回 6月28日 第6章... >>