『資本論』を読む会の報告

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2011年 08月 02日

第232回 8月2日 第8章  第9章 第10章

8月2日(火)に第232回の学習会を行いました。
「第8章 固定資本と流動資本 第2節 固定資本の諸成分の補填・修理・蓄積」の第35段落から最後(第38段落)までと「第9章 前貸資本の総回転 回転の循環」、「第10章 固定資本と流動資本に関する諸学説 重農学派とアダム・スミス」の第1段落から第8段落までについてレジュメに基づく報告を受け検討しました。

以下はレジュメです。

第九章 前貸資本の総回転 回転の循環
①生産資本の固定的成分と流動的成分とでは回転の仕方も期間も異なる。同じ事業のなかの固定資 本のいろいろな成分もその寿命・再生産期間が異なるのに従って,回転期間を異にする(同じ事業 のなかでの流動資本のいろいろな成分の回転の相違については,本章第6項で)。

②(1) 前貸資本の総回転はそのいろいろな成分の平均回転である。しかし,
③(2) ここには,ただ量的な相違だけではなく,質的な相違がある。
・流動資本は,その全価値を生産物に移す。それは,生産過程が中断なく進行するためには,絶えず 生産物の販売によって現物で補填されて行かなければならない。
・固定資本は,その価値の一部分(損耗分)を生産物に移すだけで,生産過程で機能を続ける。それは, 大なり小なりの合い間をおいて,現物で補填されればよい。この補填の必要,再生産期間は,固定 資本のいろいろな成分によって量的に相違するだけではない。固定資本の一部分は,一年または もっと短い合い間をおいて補填され,元の固定資本に現物で付加されうる。そうでない国定資本 では,寿命が尽きてからはじめて一度に補填されうる。

④それゆえ,固定資本のいろいろな部分の独自の回転を同種の回転形態に換算して,回転期間の長さ だけが違うものにすることが必要。
⑤このような質的な同一性は,P…P(連続的生産過程の形態)を出発点とする場合には,現われな い。なぜならば,Pの一定の諸要素は絶えず現物で補填されねばならないが,他の諸要素はそうで はないから。ところが,G…G'という形態は回転のこのような同一性を与えてくれる。
・たとえば,£10,000の機械が10年間の使用に耐え,毎年その1/10=£1000が貨幣に再転化(貨幣資 本⇒生産資本⇒商品資本⇒貨幣資本)するものと仮定。それは,流動資本と同様に,その最初の貨 幣形態に帰ってきた。この£1000の貨幣資本が年末に再び機械の現物形態に再転化させられるか どうかは,どうでもよいこと。
・それゆえ,前貸しされた生産資本の総回転を計算する場合には,この資本のすべての要素を貨幣形 態に固定させて,貨幣形態への復帰が回転の終結になるようにする。つねに価値を貨幣で前貸し されているものと考えるわけで,価値のこの貨幣形態が計算貨幣の形態でしかない連続的な生産 過程の場合にもそうする。こうすれば,平均を出すことができる。

⑥(3)その結果次のようになる。前貸しされた生産資本の圧倒的部分が多年にわたる回転期間を もつ固定資本からなっている場合でも⇒一年間に回転した資本価値は,その一年間に流動資本 の回転が何回も繰り返された結果として,前貸資本の総価値よりも大きいことがありうる。
⑦固定資本は£80,000,その再生産期間は10年(毎年£8000が貨幣形態に帰る)⇒固定資本は毎 年1/10回転する。流動資本は£20,000で一年に5回転。総資本は£100,000。
・回転した固定資本は£8,000,流動資本は5×20,000=£100,000。 一年間に回転した資本は£108, 000で前貸資本よりも£8,000大きい。この資本の12/25が回転した。

⑧(4)だから,前貸資本の価値回転は,前貸資本の現実の再生産期間または前貸資本の諸成分の現実 の回転期間から分離。£4000の資本が一年に五回転する仮定。回転した資本は5×4000=£20000。 一回転の終わりごとに戻ってきてまたあらためて前貸しされるのは,最初に前貸しされた£4000 の資本。この資本の大きさは,回転期間の数によっては変わらない。(剰余価値は別として)
⑨(3)の例では,年末に資本家の手に帰ってきたのは,(a)流動的成分として投下する£20,000, (b)損耗によって前貸固定資本の価値から離れた£8,000。そのほかに相変わらず同じ固定資本が 生産過程にあるが,その価値は£72,000に減っている。だから,前貸しされた固定資本が補填され るまでには,まだ九年間必要。
・だから,前貸資本価値は,いくつもの回転を含む一循環[回転循環s249]を,前例では10回の年回転 から成る一循環を,描かなければならない----この循環は,充用された固定資本の再生産期間また は回転期間によって,規定されている。
⑩資本主義的生産様式の発展につれて充用される固定資本の価値量と寿命とが増大するのと同じ度 合いで産業の生命も各個の投資における産業資本の生命も,多年に,たとえば平均して10年という ようなものになる。
・一方で固定資本の発達がこの生命を延長するとすれば,他方では,進展する生産手段の不断の変革 により,この生命が短縮される。資本主義的生産様式の発展につれて,生産手段の変化も,肉体的 に無形の損耗のために絶えず補填される必要も,増大する。
・大工業の最も決定的な諸部門については,この生命循環は今日では平均して10年の周期と推定し てよい。ここでは特定の年数が問題なのではない。
・このような循環(資本はその固定的成分によって縛りつけられている,連結した諸回転からな  る)によって,周期的な恐慌の一つの物質的な基礎が生ずるのであって,この循環のなかで事業は 不振,中位の活況,過度の繁忙,恐慌という継起する諸時期を通る。
・資本の投下される時期は非常に種々さまざまであるが,恐慌はいつでも大きな新投資の出発点を なしている。したがってまた社会全体として見れば,多かれ少なかれ次の回転循環のための一つ の新たな物質的基礎をなす。
⑪(5)回転の計算方法については,アメリカの一経済学者に語らせることにしょう。(略)

⑫(6)資本の種々の部分の回転の現実の相違と外観上の相違-----労賃・原料や完成在庫品・道具 および機械(略)
⑬スクローブは,個別資本にとって支払期限や信用関係によってひき起こされるところの,流動資本 の特定の諸部分の流れにおける相違を,資本の性質から生ずるさまざまな回転と混同している。 彼は次のように言う。労賃は,支払われた販売や勘定からの毎週の収入によって,毎週支払われな ければならない,と。
・第一に注意すべきことは,賃金の支払周期が毎週か,毎月か,三か月ごとか,半年ごとか,等々に応 じて,労賃そのものに関していろいろな相違が生ずるということ。ここでは,「支払手段の(つまり 一度に前貸しされなければならない貨幣資本の)必要量は支払周期の長さに正比例する」という以 前に展開された法則が妥当する。(第一部第三章第三節b)

⑭第二に,毎週の生産物には,一週間の新価値の総体と消費される原料や補助材料の価値もはいる。 生産物とともに,この価値も流通する。販売によって,この価値は貨幣形態を受け取る。そして, また同じ生産要素に転換される。このことは,労働力にも原料や補助材料にも同じにあてはまる。
・しかし,生産の連続のためには生産手段の在庫が必要であるが,この在庫は事業部門が違えば違っ ており,また同じ事業部門のなかでも流動資本のこの要素のいろいろな成分によって違っている。 たとえば石炭と綿花とでは違っている。それゆえ,これらの材料は,絶えず現物で補填しなければ ならないとはいえ,絶えず新しく買い入れる必要はない。買い入れがどれほど頻繁に繰り返され るかは,置かれてある在庫の大きさ,在庫がなくなるまでにどれだけ長もちするかにかかっている。
・労働力の場合には,在庫を置いておくということはない。労働に投下された資本部分については, 貨幣への再転化は,補助材料や原料に投下された資本部分のそれと並行して行なわれる。しかし 一方は生産用在庫としてかなり長い期限で買われ,他方の労働力はより短い期限で,たとえば一週 間ごとに,買われる。
・資本家は,生産用在庫のほかに,完成商品の在庫ももっていなければならない,販売の困難などは 別としても,たとえば一定の量は注文で生産しなければならない。できあがった部分は,注文が実 行されるときまで倉庫で待っている。そのほか,流動資本の回転の相違は,流動資本の個々の諸要 素が他の諸要素よりも長く生産過程の準備段階(木材の乾燥など)に停留しなければならないよう な場合にも生ずる。
⑮スクロープがここで言及している信用関係は,商業資本と同様に,個々の資本家にとっての回転を 変化させる。それが社会的な規模で回転を変化させるのは,ただ,それが生産だけではなく消費を も速くするかぎりでのことである。

 第一〇章 固定資本と流動資本とに関する諸学説
      重農学派とアダム・スミス

①ケネーの場合----固定資本と流動資本との区別は,原前貸と年前貸。彼はこの区別を正しく生産 資本の中での区別として述べている。
・彼にとっては,農業に充用される資本が唯一の現実に生産的な資本と考えられるのだから,この区 別もただ借地農業者の資本に現われるだけ。このことから,資本の一部分の回転期間は一年であ り,他の部分の回転期間は1年よりも長い(10年) ということも出てくる。
・重農学派は,この区別を産業資本一般にも,転用している。社会にとっては年々の前貸と多年にわ たる前貸との区別はやはり重要であって,多くの経済学者たちが,アダム・スミス以後でも,この 規定に立ち帰っている。

②前貸の二つの種類の区別は,前貸された貨幣が生産資本の諸要素に転化したときにはじめて生ず る(生産資本の中だけでの区別)。だから,貨幣を原前貸とか年前貸とか考えることは,ケネーに は思いもよらないこと。生産のための前貸としては原前貸も年前貸も,両方とも貨幣にも市場に ある諸商品にも対立している。
・生産資本のこの二つの要素の区別は,ケネーの場合,正当に,それらが完成生産物の価値に入って 行く仕方の相違に,それらの価値が生産物価値と一緒に流通させられる仕方の相違に,それらの補 塡または再生産の仕方の相違(一方の価値は年々全部補塡されるが他方の価値はもっと長い期間 に少しずつ補塡されて行く)に,還元される。

③A・スミスによってなされる唯一の前進は,諸カテゴリーの一般化。これらカテゴリーは,スミス にあっては,もはや資本の特殊な一形態である借地農業者資本に関するものではなく,生産資本の どの形態にも関するものである。スミスでは年前貸は流動資本に転化し,原前貸は固定資本に転 化する。しかし,彼の前進は諸範疇のこのような一般化だけ。詳論は遠くケネーに及ばない。
④スミスが研究をはじめると粗雑な経験的な方式によって不明確さを持ち込む。「資本がその使用 者に収入または利潤をもたらすように使用されうる二つの違った仕方がある。」『諸国民の富』
⑤価値が,資本として機能するように(その所有者のために剰余価値をあげるように)投下されう る仕方は,多様。それは,資本が投下されうる色々な生産部門についての問題。それは,どのよう にして価値は(生産資本として投下されない場合にも)資本として(たとえば利子生み資本や商 人資本など)機能することができるか,という問題を含んでいる。
・だから,分析の現実の対象(生産資本の色々な要素への分割は,それらの回転にどのように作用す るか,という問題)からは遠く離れている。

⑥A・スミス。「第一に,資本は,財貨を生産し,製造し,またはそれを買ってから再びそれを売って 利潤をあげることに,充用されうる。」
⑦A・スミスがここで言っているのは,資本は農業や製造工業や商業に充用されうるということ。 つまり,彼はただ資本の色々な投下部面のことを,商業でのように生産資本としては機能しない部 面をも含めて,語っている。
・彼は,重農学派が生産資本の色々な相違と,それらが回転に及ぼす影響とを説明する基礎を放棄し ている。彼は,生産物・価値形成過程での生産資本の色々な相違(生産資本の回転と再生産とに おける相違を生み出すような相違)が問題である場合に,商人資本をも例にとっている。
⑧彼は続ける。「このような仕方で充用される資本は,この充用者の所有に留まるかまたは同じ姿 で存続しているあいだは,その充用者に収入も利潤ももたらさない。」
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by shihonron | 2011-08-02 23:00 | 学習会の報告


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