『資本論』を読む会の報告

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2011年 10月 04日

第239回 10月4日 第11章 固定資本と流動資本とに関する諸学説 リカード ・ 第12章 労働期間

10月4日(火)に第239回の学習会を行いました。
「第11章 固定資本と流動資本とに関する諸学説 リカード」の第37段落から最後(第41段落)までと「第12章 労働期間」にの第1段落から第9段落までついてレジュメに基づく報告を受け検討しました。

以下はレジュメです

 (37)ここで特徴的なのは、小麦は、播種用としては生活手段としてではなく原料として役立つとはいえ、それは、第一には、それ自体として生活手段だから流動資本であり、第二には、その還流が一年間にわたるので固定資本だということである。しかし、生産手段を固定資本にするものは、ただ還流の遅速だけではなく、それが生産物に価値を引き渡す特定の仕方なのである。
 
(38)A・スミスが引き起こした混乱は、次のような結果に導いた。
 
(39)(一) 固定資本と流動資本との区別が、生産資本と商品資本との区別と混同される。たとえば、同じ機械でも、商品として市場にあれば流動資本であり、生産過程に合体されていれば固定資本である。その場合、なぜある一定の種類の資本が他の種類の資本に比べてより固定的またはより流動的であるかは、全然わからないのである。 

(40)(二) すべての流動資本は、労賃に投ぜられた資本または労賃に投ぜられるべき資本と同一視される。J・S・ミルなどはそうである。
 
(41)(三) 可変資本と不変資本との区別はすでにバートンやリカードなどでは流動資本と固定資本との区別と混同されているのであるが、それがついにはまったく流動資本と固定資本との区別に還元されてしまう。たとえばラムジではそうであって、彼の場合には原料などでも労働手段でもすべての生産手段が固定資本であって、ただ労賃に投ぜられた資本だけが流動資本である。しかし、このような形での還元が行なわれるために、不変資本と可変資本との現実の区別は理解されないのである。
 
(41)(四) あらゆることをなんとも言い様のない偏狭な銀行員的立場から見る最近のイングランドの、またことにスコットランドの、経済学者たち、たとえばマクラウドやパターソンなどでは、固定資本と流動資本との区別が、money at call(要求払預金)と money not at call(通知預金)との区別になってしまうのである。

■「money at call(要求払預金)と money not at call(通知預金)との区別」は、長谷部訳では「money at callと money not at callとの(予告なしに引き出しうる預金と予告してのみ引き出しうる預金との)区別」となっている。

【要求払い預金】 要求払い預金は、預入期間が決まっておらず、預金者の要求によっていつでも払い戻すことのできる預金です。いつでも100%現金に換えられるので、現金同様、決済機能を持っています。経済学では、要求払い預金は現金同様貨幣(通貨)に分類されます。日銀のマネーストック統計では、要求払い預金を預金通貨と呼んでいます。
 当座預金と普通預金が要求払い預金の代表ですが、その他、貯蓄預金、通知預金、別段預金などがあります。郵貯銀行の貯金は名前は違いますが、銀行の預金と同じです。
 要求払い預金は出し入れ自由な反面、利子率は低く、当座預金は無利子です。当座預金を保有していれば、小切手を振り出すことによって商品やサービスの支払いに当てることができ、投資資金の決済に当てることもできます。また、普通預金も口座の振替えによって公共料金の振込みやクレジットカードの決済をすることができます。要求払い預金に対して、預け入れ期間が決まっている預金は定期性預金といいます。(金融用語辞典)
http://money.infobank.co.jp/contents/Y300040.htm

【通知預金】通知預金とは、預入後一定期間(据置期間)経過すれば、前もって解約日を申し出ることにより、いつでも解約できる預金のことです。一般的には、据置期間は7日以上で、解約したい日の2日以上前に申し出ることになっていますが、中には、据置期間を1か月以上とする代わりに、金利を優遇するものもあります。利率は、普通預金よりも若干高めに設定されており、解約する日までの日割りで利息がつきます。ただし、据置期間中に解約した場合は、普通預金並みの利率になります。原則として一部解約はできず、全額解約になります。(金融用語辞典)
http://money.infobank.co.jp/contents/T300012.htm

【定期預金】定期預金とは、あらかじめ一定の預入期間を定め、その期間満了までは原則として払戻請求を行わないという契約の預金で、貯蓄や中期運用のための商品です。
 預入期間により、「定型方式」と「期日指定方式」に分かれます。「定型方式」は、1か月、1年、10年など満期までの期間が一定のもので、「期日指定方式」は預金者が満期日を指定するものです。
 また、適用金利で区分すると、預け入れたときの金利が満期日まで適用される「固定金利定期預金」と適用金利が一定期間ごとに見直される「変動金利定期預金」があります。
 定期預金には、スーパー定期、期日指定定期預金、大口定期預金、変動金利定期預金などがあります。http://money.infobank.co.jp/contents/T400203.htm


  第12章 労働期間

(1)二つの事業部門、たとえば綿紡績業と機関車製造をとり、そこでは労働日は同じ長さで、たとえば十時間の労働過程だとしよう。一方の部門では毎日、毎週一定量の完成生産物、綿糸が供給される。他方の部門では一つの完成生産物、一両の機関車を製造するためには、労働過程はおそらく三カ月のあいだ繰り返されなければならない。一方の場合には生産物は分離性のものであって、毎日または毎週同じ作業が繰り返し開始される。他方の場合には労働過程は連続的で、かなり多数の一日の労働過程を包括していて、これらの労働過程が結合されて、それらの作業の連続性によって、かなり長い期間の後に始めて一つの完成生産物を供給する。この場合、一日の労働過程の長さは同じでも、生産行為の長さには、すなわち、生産物を完成しそれを商品として市場に送り出すために必要な、つまりそれを生産資本から商品資本に転化させるために必要な、繰り返し行なわれる労働過程の長さには、非常に大きな違いが生ずる。固定資本と流動資本との区別はこの相違には何の関係もない。いま述べた相違は、この二つの事業部門で充用される固定資本と流動資本との割合がちょうど同じだという場合にも、やはり存在するであろう。

★《かなり多数の一日の労働過程を包括していて》は長谷部訳では《より多数の日々の労働過程にまたがっていて》、新日本訳では《かなり多くの日々の労働過程にわたって続き》となっている。

★どのような生産物を生産する事業部門であるかによって、生産資本を商品資本に転化させるために必要な、繰り返し行われる労働過程の長さには大きな違いある。固定資本と流動資本との区別は、この相違には無関係である。
 
(2)このような、生産行為の持続の長さの相違は、色々な生産部面のあいだに生ずるだけではなく、同じ生産部面の中でも、供給される生産物の大きさによって生ずる。普通の住宅はより大きい工場よりも短い期間で建築され、したがって、より少ない数の連続的な労働過程を必要とする。一両の機関車の製造に三カ月が必要だとすれば、一隻の装甲艦の建造には一年またはそれ以上の年数が必要である。穀物生産には約一年が必要であり、有角家畜の生産には数年が必要であり、造林は一二年から一〇〇年にわたることもある。田舎道はたぶん数カ月でつくられるであろうが、鉄道は何年もかかる。普通の絨毯はおそらく一週間でできるが、ゴブラン織には数年かかる、等々。要するに、生産行為の持続の長さの相違は無限に多様なのである。

★ここでは家と工場の建設、機関車と装甲艦の製造、穀物生産と家畜の生産と造林、田舎道の整備と鉄道の敷設がそれぞれ同じ生産部面(建設、製造、農業、交通基盤整備等)として取り扱われている。 
(3)生産行為の持続の長さの相違は、明らかに、資本投下が同じ大きさでも回転の速さの相違を、つまり与えられた資本が前貸しされている期間の相違を、生み出さざるを得ない。仮に機械紡績業と機関車製造業とが同じ大きさの資本を充用し、不変資本と可変資本とへの分割が同じであり、資本の固定的成分と流動的成分とへの分割も同じであり、最後に、労働日の大きさも、その必要労働と剰余労働とへの分割も同じだとしよう。さらに、流通過程から生ずる事情でこの場合にとって外的なものはすべて排除するために、糸も機関車も注文によって製造され、完成生産物の引き渡しのさいに代価を支払われるものと仮定しよう。一週間の後に、できあがった糸を引き渡すとき、紡績業者は(ここでは剰余価値は考慮に入れない)投下した流動資本を取り戻し、また糸の価値に含まれている固定資本の消耗分をも取り戻す。そこで、彼は同じ資本で同じ循環をあらためて繰り返すことができる。彼の資本は回転を済ませている。ところが、機関車製造業者のほうは三カ月のあいだ毎週絶えず新たな資本を労賃と原料とに投下しなければならない。そして、三カ月後に機関車が引き渡されてから、はじめて、この期間中に同じ一つの生産行為で同じ一つの商品を生産するために次々に投下されて行った流動資本が、再び、その循環をあらためて開始することのできる形態で現われる。同様に、彼にとってはこの三カ月間の機械の損耗も今はじめて補填される。一方の投下は一週間分であり、他方の投下は一週間の投下の一二倍である。他の事情はすべて同じだと前提すれば、一方の人は他方の人の一二倍の流動資本を動かすことができなければならない。
 
(4)とはいえ、毎週前貸しされる資本が同額だということは、ここではどうでもよいことである。前貸資本の大きさがどうであろうと、その資本であらためて作業が行なわれるようになるまでに、すなわち、その資本で同じ作業が繰り返されるかまたは別種の作業がはじめられるようになるまでに、一方の場合には資本はたった一週間だけ前貸しされており、他方の場合には一二週間にわたって前貸しされているのである。
 
(5)回転速度の相違、すなわち、同じ資本価値が再び新たな労働過程または価値増殖過程に役立つようになるまでに一つの資本が前貸しされていなければならない時間の長さの相違は、ここでは次のことから生ずる。

★《回転速度》という言葉はここで初めて登場する。これまでは《回転期間》と《回転数》として問題にされていた。回転期間が短ければ回転速度は速く、回転期間が長ければ回転速度は遅い。回転期間が1ヶ月であれば1年に12回転し、回転期間が3ヶ月であれば1年に4回転する。前者の回転速度は、後者の回転速度の3倍だということになる。回転速度は、回転期間に反比例し、一定期間における回転数に比例する。
 
(6)機関車または何らかの機械の製造に一〇〇労働日が必要だと仮定しよう。紡績や機械製造に従事する労働者に関しては、この一〇〇労働日は同じように一つの不連続(分離)量をなしており、仮定によれば、一〇〇の相次いで行なわれる別々の一〇時間労働過程から成っている。しかし、生産物――機械――に関しては、一〇〇労働日は一つの連続量をなしている。すなわち一〇〇〇労働時間の一労働日を、一つにまとまった生産行為を、なしている。このような、多かれ少なかれ多数の相関連する労働日の連続によって形成されている一つの労働日を、私は一労働期間と名づける。われわれが労働日と言うときには、労働者が自分の労働力を毎日支出しなければならない労働時間、すなわち彼が毎日労働しなければならない労働時間の長さを意味する。これに対して労働期間と言う場合には、一定の事業部門で一つの完成生産物を供給するために必要な相関連する労働日の数を意味する。この場合には各労働日の生産物は一つの部分生産物でしかないのであって、それがさらに毎日仕上げられて行って、長短の労働期間の終わりにはじめてその完成した姿を与えられ、一つの完成した使用価値になるのである。
 
(7)それ故、社会的生産過程の中断や撹乱、たとえば恐慌によるそれが分離の労働生産物に与える影響と、その生産にかなり長い関連した一期間を必要とする労働生産物に与える影響とは、非常に違うのである。一方の場合には、一定量の糸や石炭などの今日の生産に、明日は糸や石炭などの新しい生産が続かなくなる。ところが、船や建物や鉄道などではそうではない。労働が中断されるだけではなく、一つの関連した生産行為が中断されるのである。仕事が続行されなければ、すでにその生産に消費された生産手段や労働は無駄を支出されたことになる。仕事は再開されるとしても、中断期間中は絶えず質の悪化が進行しているのである。
 
(8)生産物ができあがるまで固定資本が毎日それに移して行く価値部分は、一労働期間全体のあいだ絶えず層をなして積み重なって行く。そして、ここには同時に固定資本と流動資本との区別の実際上の重要性が現われているのである。固定資本はかなり長いあいだ生産過程に前貸しされていて、このおそらくは多年にわたる期間が過ぎるまでは、更新される必要はない。蒸気機関がその価値を少しずつ毎日不連続な労働過程の生産物である糸に移して行くか、それとも三カ月のあいだに一つの連続的な生産行為の生産物である一両の機関車に移すかという事情は、蒸気機関の購入に必要な資本の投下を少しも変えるものではない。一方の場合には蒸気機関の価値は少しずつ、たとえば毎週還流し、他方の場合には、もっと大きな量で、たとえば三カ月毎に還流する。だが、どちらの場合にも、蒸気機関の更新は、おそらく二〇年もたってからはじめて行なわれるであろう。蒸気機関の価値が生産物の販売によって少しずつ還流してくる各個の期間が、蒸気機関それ自身の生存期間よりも短い限り、同じ蒸気機関が幾つもの労働期間にわたって引き続き生産過程で機能するのである。
 
(9)ところが、前貸資本の流動的成分のほうはそうではない。今週分として買われる労働力は今週のうちに支出されて、生産物に対象化されてしまう。この労働力には今週の終わりに代価が支払われなければならない。そして、このような労働力への資本投下は三カ月のあいだ毎週繰り返されるが、今週のこの資本部分の支出によってこの資本家は来週の労働の購入をまかなうことはできない。労働力への支払には毎週新たな追加資本が支出されなければならない。そして、ここではいっさいの信用関係を無視するとすれば、資本家は、労賃を一週間ずつにわけて支払うのだとはいえ、三カ月のあいだ労賃を投下することができなければならない。流動資本のもう一つの部分、原料や補助材料についても、同じことである。労働の層は次々に生産物の上に積み重なって行く。支出された労働力の価値だけではなく、剰余価値もまた労働過程が続くあいだ絶えず生産物に、といってもまだ完成の姿をもっていないのでまだ流通能力のない未完成な生産物に、移されて行く。原料や補助材料からだんだん生産物に移されて行く資本価値についても、同じことが言える。
 
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by shihonron | 2011-10-04 15:29 | 学習会の報告


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