2011年 10月 18日
10月18日(火)に第241回の学習会を行いました。 「第12章 労働期間」にの第21段落から最後(第24段落)までと「第13章 生産期間」の第1段落から第17段落までについてレジュメに基づく報告を受け検討しました。 以下はレジュメです (21)回転の遅いことがイングランドが小借地農業者のもとでさえこのような結果を生むとすれば、それが大陸の小農民のもとではどんなにひどい混乱を引き起こさざるを得ないかは、容易に理解できるであろう。 (22)労働期間の長さ、したがってまた流通可能な商品の完成までの期間の長さに対応して、固定資本がだんだん生産物に移して行く価値部分が積み重なって、この価値部分の還流が遅くなる。しかし、この遅延は、固定資本の投下の更新を引き起こす原因にはならない。機械は、その損耗の補填分が貨幣形態で還流するのが遅かろうと速かろうと、引き続き生産過程で働いている。流動資本はそうではない。労働期間の長さに比例して資本がより長い期間固定されていなければならないだけではなく、また、絶えず新たな資本が労賃や原料や補助材料として前貸しされなければならない。それ故、還流が遅くなることは固定資本と流動資本とに別々の作用をするのである。還流が遅かろうと速かろうと、固定資本は働き続ける。これに反して、流動資本は、まだ売れていない生産物または未完成でまだ売ることのできない生産物の形態に固着しているならば、そしてそれを現物で更新するための追加資本もないならば、還流の遅延によって機能できなくなるのである。―― 「農民は飢えているが、彼の家畜は肥えている。かなりの降雨があって、牧草は茂っていた。インドの農民は太った牛のそばで飢え死にするであろう。迷信の掟は個人にとっては残酷に見えるが、社会にとってはその維持を助けるのである。役畜の維持は農耕の進行を保証し、したがって将来の生計と富との源泉を保証する。残酷で悲惨に見えるかも知れないが、実際、インドでは人間は牛よりも補充しやすいのである。」(『報告。東インド。マドラスおよびオリッサの飢饉』、第四号、四四ページ。) これを『マヌ法典』第一〇章第六二節の次の文句と比較せよ(20)。 「僧または牝牛を維持するための無報酬の献身は・・・・これらの貧しい生まれの種族の至福を保証することができる。」 (23)もちろん、五歳の動物を五年たたないうちに供給することは不可能である。しかし、ある限界の中で可能なことは、取扱方法を変えることによって動物をもっと短い期間でその用途に向くように成熟させることである。このことは、ことにベークウェルによって成し遂げられた。それまではイギリスの羊は、フランスの羊が一八五五年にもまだそうだったように、四歳か五歳になるまではまだ屠殺できるまでに成熟していなかった。ベークウェルの方法によれば、すでに一歳の羊でも肥やし飼いすることができるし、いずれにせよ二年目が終わるまでには完全に成育している。ディシュリ・グレンジの借地農業者ベークウェルは、注意深い淘汰によって、羊の骨格をその生存に必要な最小限度まで小さくした。彼の羊はニュー・レスターズと呼ばれた。 「今では飼育者は、以前一頭の羊を育て上げたのと同じ時間で三頭を市場に供給することができる。しかも、その羊は、最も多く肉のとれる部分が、いっそう幅広く、いっそうまるまると、いっそう大きく発達している。その重量のほとんどが肉ばかりである。」(ラヴェルニュ『イングランド、スコットランド、アイルランドの農村経済』、一八五五年、二〇ページ。) ■【ブロイラー】(英語:broiler)は、肉鶏の一品種。短期間で急速に成長させる狙いで作られた品種である。食肉専用・大量飼育用の雑種鶏の総称。具体的品種としてはチャンキー、コッブ、アーバーエーカなどが主なものとなる。生育がとても早く、数週間で2キロ前後の肉が取れることもあるので知られている。 ブロイラーは徹底した育種改良の研究により、過去50年間で、成長率が1日25gから100gへとあがっている。自然界の鶏は成鶏に達するのに4~5ヶ月かかるところをブロイラーは40日~50日で成鶏に達する。その急激な成長によりブロイラーの30%近くは体を支えることが難しく歩行困難となり、3%はほとんど歩行不能となっている。 もともとはアメリカの食鶏規格の用語で、孵化後2ヵ月半(8-12週齢)以内の若鶏の呼称である。 ブロイル(broil)とは、オーブンなどで丸ごと炙り焼きすることの意味で、ブロイルして売るのに適した大きさの鶏であるためこう呼ばれた。 日本には第二次世界大戦後にくいだおれ創業者の山田六郎によってアメリカから導入された。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC (24)労働期間を短縮する諸方法は、産業部門が違えば非常に違った程度でしか応用できないもので、種々の労働期間の長さの相違を均等化するものではない。前と同じ例で言えば、新たな工作機械の使用によって、機関車一両の製作に必要な労働期間は絶対的には短縮されるであろう。しかし、紡績における諸方法の改良によって毎日または毎週供給される完成生産物が比べものにならないほどより急速に増やされるならば、機械製造における労働期間の長さは、紡績に比べれば、相対的にはやはり増大しているわけである。 第13章 生産期間 ①労働期間は生産期間,資本が生産部面に拘束されている期間である。逆に,資本が生産過程にある すべての期間が必ず労働期間であるとはかぎらない。 ②問題は,労働力そのものの自然的制限による労働過程の中断ではない。工場建物や機械など,固 定資本が労働過程の休止中は遊休しているという事情が,どれほど労働過程の不自然な延長や昼 夜労働への動機の一つになったかは,すでに明らかにした。 ・ここで問題にするのは,労働過程の長さにはかかわりのない,生産物とその生産との性質そのもの によってひき起こされる中断であって,そのあいだ労働対象は長短の期間にわたる自然過程のも とに置かれて,物理的,化学的,生理的諸変化を経るのであり,そのあいだ労働過程はその全体また は一部分が停止されている。 ③ぶどう液----醗酵状態。製陶業----乾燥過程,漂白業----化学的性状の変化,冬作穀物は成熟す るまでに9か月----播種期と収穫期の中間の時期は労働過程はほとんど中断。造林では播種と準 備作業後,完成生産物までに100年----この全期間労働の働きかけは相対的にごくわずか。 ④これらの場合には,生産期間の一大部分,ときどき追加労働が加えられるだけ。生産過程に固定 されている資本に追加資本や労働が加えられなければならないという事情は,ここではただ長短 の中断をはさんでしか生じない。 ⑤これらの場合には前貸資本の生産期間は二つの期間から成っている。一つは,資本が労働過程に ある期間。第二の期間は,資本の存在形態(未完成な生産物という形態)が労働過程にあること なしに自然過程の支配にまかされてある期間。生産期間は労働期間よりも長い。 ・しかし,生産期問がすんでから生産物は完成し,成熟し,生産資本の形態から商品資本の形態に転 化できる。だから,生産期間の長さにしたがって資本の回転期間も長くなる。 ・労働期間を越える生産期間が,穀物の成熟やオークの成長などの場合のように永久的に与えられ ている自然法則によって規定されているのでないかぎり,回転期間が生産期間の人為的短縮によ って多かれ少なかれ短縮されうる。屋外漂白に代わる化学的漂白,乾燥装置,鞣皮業での空気ポ ンプ使用。生産期間を人為的に短縮した最大の実例----鉄生産の歴史(最近100年間における銑 鉄から鋼鉄への転化)。生産期間の短縮と同じ度合いで固定資本の投下額も増大した。 ⑥生産期間と労働期間との不一致の例----アメリカの靴型製造。本来の労働過程にはいる前に,靴 型の木材乾燥に18か月,生産過程にある。この例は,総流動資本の種々の部分の回転期間が,流通 部面からではなく生産過程から生ずる諸事情によって,どんなに異なりうるかをも示す。 ⑦生産期間と労働期間との相違は農業では特に明瞭。温帯では土地は1年に1回穀物を産する。生産 期間(冬作では平均9か月)の短縮または延長は,本来の工業でのように精確に予定され制御される ことはできない。牛乳やチーズなどのような副産物だけが比較的短い期間で連続して生産され販 売されることができる。 ・これにたいして労働期間は次のようになる。「労働日の数は,三つの主要な作業期について次のよ うに見積もられる。春期に50~60,夏期に65~80。秋期に55~75労働日。冬期には,肥料や木材 や市場商品や建築材料などの運搬のような労働が目につく。」(F・キルヒホーフ) ⑧気候がわるければ,農業の労働期間,したがってまた資本と労働との投下は,短い期間に圧縮され る。たとえばロシアのいくつかの北部地方では耕作労働が可能なのは1年に130~150日。もしヨ ーロッパ・ロシアの人口6500万のうち5000万が,すべての耕作労働ができなくなる冬の6か月から8 か月のあいだ仕事なしでいるとすれば,ロシアの受ける損害がどんなに大きいか。 ・ロシアの10,500の工場で働いている200,000の農民のほかに,農村では家内工業が発達している。 すべての農民が代々織物師,なめし師,靴屋,錠前師,刃物師,等々である村々がある。このよ うな家内工業は資本主義的生産への奉仕を強制されている。たとえば織物師には,縦糸も横糸も 商人によって直接か,または問屋の手を経て,供給される。ここでわかるのは,生産期間と労働期 間との不一致が農業と副業的農村工業との結合の自然的基礎をなしており,他方,この副業的農村 工業がまた,最初はまず商人として侵入してくる資本家にとって拠点になる。 ・その後,資本主善的生産が工業と農業との分離を完成するようになると,ますます農村労働者は副 業に依存するようになり,農村労働者の状態は悪化する。資本にとっては,後に見るように,回転 の相違はすべて平均される。労働者にとってはそうはならない。 ⑨本来の工業や鉱山業や運輸業などの部門では,経営は変化のないものであり,労働期間は年々歳々 一様であって,価格の変動や事業の障害などほ異常な中断として度外視すれば,日々の流通過程に はいって行く資本の投下は均等に配分される。同様に,その他の市場関係が不変であれば,流動資 本の還流またはその更新も一年をつうじて均等な諸期間に配分される。 ・労働期間が生産期間の一部分でしかない投資では,流動資本の投下には非常に大きな不均等が生 ずるが,還流は,ただ自然条件によって固定された時期に一度に行なわれる。事業の規模は同じで も(前貸しされる流動資本の大きさは同じでも),労働期間の連続的な事業に比べれば流動資本 が一度により大量により長期間にわたって前貸しされねばならない。 ・ここでは固定資本の寿命と固定資本が現実に生産的に機能する時間との相違も,より大きい。労 働期間と生産期間との相違につれて,充用される固定資本の使用期間も長短の期間に中断される。 農業では役畜や道具や機械。役畜は,飼料などへの支出が必要である。生命をもたない労働手段 の場合には,使用されなくてもある程度の減価が生ずる。だから一般に生産物の価格が高くなる。 というのは,生産物への価値移転は,固定資本が機能している時間によってではなく,固定資本が 価値を失って行く時間によって計算されるから。このような生産部門では固定資本の遊休は,そ れが経常的な費用を必要とするかどうかにかかわらず,その固定資本の正常な充用の一条件をな している。どの労働過程でも,正常な技術的条件のもとで不生産的にではあるが不可避的に支出 された労働力は,生産的労働力とまったく同じに数えられる。労働手段や原料や労働力の不生産 的な支出を減らす改良は,すべて,生産物の価値をも減少させる。 ⑩農業では,労働期間の比較的長い持続と,労働期間と生産期間との大きな差という二つのことが一 体になっている。「農業者のはなはだしい従属状態の主要原因。彼らは一年より短い時間で商品 を市場にだすことはできない。自然的事情の結果として,全国の土地を独占した土地所有者も, 彼らの家来である借地農業者も,国内の最も従属的な人民になる運命から救い出すことができな い」(トマス・ホジスキン) ⑪いろいろな種類の生産物が生産され,一年を通しいろいろな収穫が可能となることによって,一方 では農業での労賃や労働手段への支出が一年じゅうにもっと均等に配分されるようにし,他方で は回転が短縮されるが,このような方法は,前貸しされる労賃や肥料や種子などに投ぜられる流 動資本の増加を必要とする。たとえば,休耕地の必要な三圃式農業からその必要のない輪作式農 業に移行する場合がそうである。 ・フランドル地方の間作の場合もそうである。 「間作では,同じ耕地がまず穀物や亜麻やあぶらな を産し,その収穫がすめば家畜を養うための根菜がまかれる。有角家畜を引き続き家畜小屋に入 れておくことのできるこの方法は,非常に多量の肥料を堆積させるので輪作農業の中軸になる。 砂地地帯では耕作面積の1/3以上が間作に振り向けられる。それは,ちょうど耕地の広さを1/3だ けふやしたようなものである。」 ⑫造林 ----「木材生産が他の生産から本質的に区別される点。木材生産では自然力が独立に作用し, 天然造林にあっては人力や資本力が必要でない。森林が人工造林が行われる場合でも,人力や資 本力の費消は自然力の作用に比べればほんのわずか。穀物生産が引き合わないような地質と地形 でも,森林は繁茂。しかし,造林は,規則的な経営のためには穀物栽培よりも大きな面積が必要。 生産過程は長い期間を必要とし,一個の私経営の計画を越えており,人の一生を越えることもある。 林地の獲得に投ぜられた資本は,長い時間の後に収益をあげるのであり,一部分ずつ回転する。 完全に回転するには木材の種類によっては150年もの期間が必要。永続的な木材生産は,年々の利 用高の10倍から40倍にのぼる生木の保有が必要。ほかに収入もなく広大な森林ももっていない人 は,規則的な林業を経営することはできない。」(キルヒホーフ) ⑬長い生産期間,それ故長い回転期間は,造林を不利な私経営部門,不利な資本主義的経営部門にす る。個々の資本家に代わって結合資本家が現われても,資本主義的経営は本質的には私経営。文 化および産業一般の発達は,昔からきわめて能動的に森林を破壊するものとして実証されてきた が,逆に森林の維持や生産のためにしてきた一切のことは,まったく微々たるもの。 ⑭キルヒホーフからの引用で注目に値する箇所。「永続的な木材生産は,年々の利用高の10倍から40 倍にのぼる生木の保有を必要とする。」つまり,10年から40年以上に一回の回転。 ⑮牧畜でも同様。家畜群(家畜の在庫)の一部分は,他の部分が年間生産物として売られるときにも, 生産過程に残っている。ここでは資本の一部分だけが毎年回転する(機械や役畜などのような固 定資本の場合と同じ)。この資本は,長期間生産過程に固定される資本でありそのため総資本の 回転を長引かせるとはいえ,範疇的な意味での固定資本をなすものではない。 ⑯ここで在庫と呼ばれるもの(一定量の生きている樹木や家)は相対的[本来の在庫と比べれば]に生産 過程にある(労働手段としてと同時に労働材料として)。規則的な経営では,再生産の自然的条件 により,かなりの部分がつねにこの[在庫の]形態をとっていなければならない。 ⑰これと同じような影響を回転に与えるもう一つ別な種類の在庫がある.それは,潜勢的な生産資本 をなし,経営の性質上,現実の生産過程には徐々にはいって行くだけなのに多かれ少なかれ集積さ れていなければならず,したがってかなり長い期間にわたって生産に前貸しされていなければな らないものである。これに属するものは,まだ畑に運ばれていない肥料,家畜の飼育に用いられる 穀物や乾草などの飼料の在庫である。
by shihonron
| 2011-10-18 23:30
| 学習会の報告
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