『資本論』を読む会の報告

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2006年 03月 14日

第11回  3月7日 2 相対的価値形態 a 相対的価値形態の内実

 3月7日(火)に『資本論』を読む会@所沢 第2期 第11回の学習会を行いました。「第1章商品 第3節 価値形態または交換価値 2 相対的価値形態 a 相対的価値形態の内実」の第6段落から最後(第11段落)までを輪読、検討しました。

■内容要約と議論

第3節 価値形態または交換価値 
2 相対的価値形態 a 相対的価値形態の内実

第6段落
・(直前の箇所で、上着が価値物としてリンネルに等置されることによって、上着をつくる裁縫労働は(抽象的)人間労働に還元され、リンネルを織る織布労働もまた抽象的人間労働であることが表現されることが述べられた。)しかし、リンネルの価値をなしている労働の独自な性格を表現するだけでは十分ではない。
・流動状態にある人間の労働力、すなわち人間労働は、価値を形成するが、しかし、価値ではない。
・それは、凝固状態において、対象的形態において、価値になるのである。
・リンネル価値を人間労働の凝固として表現するためには、それをリンネルそのものとは物的に違っていると同時にリンネルと他の商品とに共通な「対象性」として表現しなければならない。課題はすでに解決されている。

●上着がリンネルに等置される→上着をつくる裁縫労働はリンネルを織る織布労働と等置される→裁縫は抽象的人間労働に還元される→織布もまた(裁縫と同じく)抽象的人間労働であることが表現される
 
●「流動状態にある人間の労働力」とは何かについて議論がありました。結論としては、これはすぐ後に書かれているとおり「人間労働」のことだということになりました。 「労働力」=能力「労働」=能力の発揮(流動化)

●「それは、凝固状態において、対象的形態において、価値になる」の「それ」とは何かという疑問が出され、「人間労働」のことだという結論になりました。

●「物的に違っている」の意味について疑問が出され、「使用価値としては違っている」という意味だろうということになりました。

●「課題はすでに解決されている」とはどういう意味かという疑問が出され、第3段落で述べられていること、またこの後でさらに詳しく展開されることではないかという意見が出されました。
 上着がリンネルに等置される→上着は価値の存在形態、価値物として認められる→上着に等しいということによってリンネルもまた価値物であることが表現される
 リンネルの価値は独立な表現を与えられる(リンネルの価値は上着である)

第7段落
・リンネルの価値関係のなかで上着がリンネルと質的に等しいもの、同じ性格のものとして認められるのは、上着が価値であるからである。それだから、上着はここでは、価値がそれにおいて現れる物、または手でつかめるその現物形態で価値を表している物として認められているのである。
・ところで、上着は、上着商品の身体は、たしかに一つの単なる使用価値である。上着が価値を表していないことは、有り合わせのリンネルの一片が価値をあらわしていないのと同じことである。このことは、ただ上着がリンネルとの価値関係のなかではそのそとでよりも多くを意味しているということを示しているだけである。ちょうど、多くの人間は金モールのついた上着のなかではその外でよりも多くを意味しているように。

●「リンネルの価値関係」と述べているのはなぜか? 後の箇所では「リンネルとの価値関係」という表現もある。「リンネル=上着」はリンネルの価値表現であり、この表現をつくる主体はリンネル(リンネルによる価値表現)であることからこうした表現になっているのではないだろうか。商品が他の商品にたいして、価値の点においてもつ関係を価値関係という。

●上着がリンネルに等値される関係(リンネル=上着)のなかでは、上着は「価値がそれにおいて現れる物」、「手でつかめるその現物形態で価値を表している物」として認められる。第3段落では「この関係のなかでは、上着は価値の存在形態として、価値物として認められる。なぜならば、ただこのような価値物としてのみ、上着はリンネルと同じだからである」と述べられていた。

●「金モール」は「芯糸に金糸をからませたモール糸。軍服などの装飾や手芸などに用いる」、「金モールのついた上着」は「軍服」をさしていると思われる。将軍も、軍服を脱いだ家庭においては好々爺であるに過ぎないといったこと。

第8段落
・上着の生産では、裁縫という形態で、人間の労働力が支出され、上着のなかには人間労働が積もっている。この面から見れば、上着は「価値の担い手」である。
・このような上着の属性そのものは、上着のどんなすりきれたところからも透いて見えるわけではないが。
・リンネルの価値関係のなかでは、上着はただこの面だけから、したがってただ具体化された価値としてのみ、価値体としてのみ、認められるのである。
ボタンまでかけた上着の現身にもかかわらず、リンネルは上着のうちに同族の美しい価値魂を見たのである。とはいえ、リンネルにたいして上着が価値を表すということは、同時にリンネルにとって価値が上着という形態をとることなしには、できないことである。

●「このような上着の属性」とは何かが問題になりました。「人間労働が積もっている」という属性、つまり「価値」のことだという結論になりました。

●「具体化された価値」「価値体」という表現があるが、これは第7段落では「価値がそれにおいて現れる物、または手でつかめるその現物形態で価値を表している物」と述べられていた。
 第3段落では「この関係のなかでは、上着は価値の存在形態として、価値物として、認められる。なぜならば、ただこのような価値物としてのみ、上着はリンネルと同じだからである。」という叙述がある。

第9段落
こうして、上着がリンネルの等価物になっている価値関係のなかでは、上着形態は価値形態として認められる。それだから、商品リンネルの価値が商品上着の身体であらわされ、一商品の価値が他の商品の使用価値で表されるのである。使用価値としてはリンネルは上着とは感覚的に違った物であるが、価値としてはそれは「上着に等しいもの」であり、したがって上着に見えるのである。このようにして、リンネルは自分の現物形態とは違った価値形態を受け取る。

● 「上着形態は価値形態として認められる」とはどういうことかが問題になり、「上着の現物形態(使用価値)が価値の現象形態(価値がそれにおいて現れる物)として認められる」ということだろうということになりました。

第10段落
・さきに商品価値の分析がわれわれに語ったいっさいのことを、いまやリンネルが別の商品、上着と交わりを結ぶやいなや、リンネル自身が語るのである。ただリンネルは自分の思想をリンネルだけに通ずる言葉で、つまり商品語で表すだけである。
・労働は人間労働という抽象的属性においてリンネル自身の価値を形成するということを言うために、リンネルは、上着がリンネルに等しいとされるかぎり、つまり価値であるかぎり、上着はリンネルと同じ労働からなっている、というのである。
・自分の高尚な価値対象性が自分のごわごわとした肉体とは違っているということを言うために、リンネルは、価値は上着に見え、したがってリンネル自身も価値物としては上着にそっくりそのままである、と言うのである。

●「さきに商品価値の分析がわれわれに語ったいっさいのこと」とは、第1節・第2節で明らかにされたこと。

第11段落
・こうして、価値関係の媒介によって、商品Bの現物形態は商品Aの価値形態になる。言いかえれば、商品Bの身体は商品Aの価値鏡になる。
・商品Aが、価値体としての、人間労働の物質化としての商品Bに関係することによって、商品Aは使用価値Bを自分の価値表現の材料にする。
・商品Aの価値は、このように商品Bの使用価値で表現されて、相対的価値の形態をもつのである。 

【参考】価値物と価値体との区別
価値物と価値体との区別について、『貨幣論』(久留間鮫造・大月書店)で大谷禎之介氏が『価値形態論と交換過程論』(久留間鮫造・岩波書店)での叙述について疑問を提出したのに対して、久留間氏は、【「価値体」あるいは「価値物として通用(ゲルテン)する物」と言うべきであったのを「価値物」と言ったのはぼくの大変なミスでした。だから、これからはどうぞそのように訂正して読んでいただきたいのです。】と答えています。

大谷氏が提出した疑問は以下のようなものでした。【労働生産物が商品になると、それは価値対象性を与えられているもの、すなわち価値物となる。しかし、ある商品が価値物であること、それが価値対象性をもったものであることは、その商品体そのものからつかむことができない。商品は他商品を価値物として自分に等置するこの関係のなかではその他商品は価値物として意義をもつ、通用する。またそれによって、この他商品を価値物として自己に等置した商品そのものも価値物であることが表現されることになる。約言すれば、商品の価値表現とは、質的に見れば、商品が価値物であることの表現であり、等価物とはその自然形態がそのまま価値物として意義をもつ商品だ、ということです。
 いま申しました、〈その自然形態がそのまま価値物として意義をもつもの〉、これが先生の意味での「価値物」ですが、マルクスはこれをさす言葉としては、むしろ「価値体」というのを使っているのではないかと思われるのです。」(『貨幣論』97‐98頁)【「価値体」こそ、〈その自然形態がそのまま価値を表すもの〉という意味を持つ概念ではないかと思われるのです。」(同99頁)
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by shihonron | 2006-03-14 12:08 | 学習会の報告


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