『資本論』を読む会の報告

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2006年 07月 30日

第28回  7月25日 第2章 交換過程

7月25日(火)に第28回の学習会を行いました。前回の復習をした後、「第2章 交換過程」の第10段落から第14段落までを輪読、検討しました。検討は、第14段落の途中までで時間切れとなりました。

■テキストの内容と議論    
第2章 交換過程

第10段落
・商品交換がその局地的限界を打ち破り、したがって商品価値が人間労働一般の物質化に発展してゆくにつれて、貨幣形態は、生来一般的等価物の社会的機能に適している諸商品に、貴金属に移ってゆく。

●「商品交換がその局地的限界を打ち破」るとはどういうことか? 当初は、共同体と共同体のときおりの接触で行われるにすぎなかった商品の交換が、恒常的になる。そして、商品の交換は限られた場所や地域の枠を超えて発展するということだろう。一国全体でということか、世界貿易まで念頭に置いているのかという疑問も出されましたが、ここでは、一般的に「商品交換の発展」として理解しておこうということになりました。

●「人間労働一般の物質化」とはどういうこととの疑問が出され、「抽象的・人間的労働の対象化・凝固・結晶と述べられてきたこと」と答えられました。

●「一般的等価物の社会的機能」とは? 他人のすべての商品と直接に交換可能であり、他人のすべての商品にとって、共通の価値表現に役立ち、したがってまた価値を尺度する手段として役立つということ。

貨幣と貨幣形態 貨幣とは、その現物形態に一般的等価物の機能が合体し、癒着した商品であり、だからまた一般的等価物の機能を社会的に独占する商品である。商品が自分の価値を貨幣で表現している価値形態をその商品の貨幣形態と言う。(大谷禎之介『図解 社会経済学』73-74頁)

第11段落
・ところで「金銀は生来貨幣なのではないが、貨幣は生来貨幣である」ということは、金銀の自然属性が貨幣の機能に適しているということを示している。
・しかし、これまでのところでは、われわれは貨幣の一つの機能を知っているだけである。
・すなわち、商品価値の現象形態として、また諸商品の価値量が社会的に表現されるための材料として、役だつという機能である。
・価値の適当な現象形態、または抽象的な、したがって同等な人間労働の物質化でありうるのは、ただ、どの一片をとってみてもみな同じ均等な質をもっている物質だけである。
・他方、価値量の相違は純粋に量的なものだから、貨幣商品は、純粋に量的な区別が可能なもの、つまり任意に分割することができ、その諸部分から再び合成することができるものでなければならない。
・ところが、金銀は生来これらの属性をもっているのである。

●貨幣の機能については「第3章 貨幣または商品流通」で展開されている。ここで「商品価値の現象形態として、また諸商品の価値量が社会的に表現されるための材料として、役だつという機能」と述べられているのは、価値尺度機能のこと。

●均等な質をもち任意に分割・合成ができるという金銀の属性は、「商品価値の現象形態として、また諸商品の価値量が社会的に表現されるための材料として、役だつという機能」に適している。

第12段落
・貨幣商品の使用価値は二重になる。
・それは、商品としてのその特殊な使用価値、たとえば金が虫歯の充填や奢侈品の原料などに役だつというような使用価値のほかに、その独自な社会的機能から生ずる一つの形態的使用価値を受け取るのである。

●「貨幣商品」とは? 「その現物形態に等価形態が社会的に合生する特殊な商品種類は、貨幣商品になる」(国民文庫130頁・原頁83)と述べられていた。貨幣として機能する商品のこと。

●新日本出版社版では「形態的使用価値」は「形式的な使用価値」となっている。使用価値については「ある一つの物の有用性は、その物を使用価値にする。……商品体そのものが、使用価値または財なのである。」「使用価値は、ただ使用または消費によってのみ実現される」(国民文庫73頁・原頁50)と述べられていた。 「 独自な社会的機能から生ずる一つの形態的使用価値」とは、適当な量がありさえすれば、それとひきかえにどんな物でも手に入れることのできる交換手段としての有用性のことだろう。

第13段落
・他のすべての商品はただ貨幣の特殊的等価物でしかなく、貨幣は他の諸商品の一般的等価物なのだから、他の諸商品は、一般的商品としての貨幣に対して、特殊的諸商品として相対するのである。

■価値形態の復習

・形態Ⅰ 単純な、個別的な、または偶然的な価値形態
  x量の商品A=y量の商品B
  商品Aの単純な相対的価値形態→個別的等価物(商品B)

・形態Ⅱ 全体的な、または展開された価値形態
  z量の商品A=u量の商品B または =v量の商品C または =w量の商品D または =  x量の商品E または =等々
  A商品の展開された相対的価値形態→特殊的等価物(B、C、D、E等々の諸商品)

・形態Ⅲ 一般的価値形態
 1着の上着 = ┐
10ポンドの茶 = │
40ポンドのコーヒー = │
1クォーターの小麦 = │ 20エレのリンネル
2オンスの金 = │
1/2トンの鉄 = │
x量の商品A = │
等々の商品 = ┘
  諸商品の一般的相対的価値形態→一般的等価物(リンネル)

・形態Ⅳ 貨幣形態
  20エレのリンネル = ┐
  1着の上着 =       │
  10ポンドの茶 = │
  40ポンドのコーヒー =  │       2オンスの金
  1クォーターの小麦 = │
  1/2トンの鉄 = │
  x量の商品A = │
  等々の商品 = ┘

「形態Ⅰから形態Ⅱへの、また形態Ⅱから形態Ⅲへの移行では、本質的変化が生じている。これに反して、形態Ⅳは、いまではリンネルに代わって金が一般的等価形態をもっているということのほかには、形態Ⅲと違うところはなにもない。形態Ⅳでは金は、やはり、リンネルが形態Ⅲでそうだったもの――一般的等価物である。前進は、ただ、直接的な交換可能性の形態または一般的等価形態がいまでは社会的慣習によって最終的に商品金の独自的な現物形態と合生しているということだけである。」(国民文庫131-132頁・原頁84)

●「他のすべての商品はただ貨幣の特殊的等価物」とは? 
貨幣を相対的価値形態におく「展開された価値形態」(形態Ⅱ)のことだろうか。
「一般的等価物の相対的価値を表現するためには、むしろ形態Ⅲを逆にしなければならないのである。一般的等価物は、他の商品と共通な相対的価値形態をもたないのであって、その価値は、他のすべての商品体の無限の列で表現されるのである。」(国民文庫130頁・原頁83)そのかぎりでは、特殊的等価物である諸商品は、貨幣に対して直接的交換可能性をもつことになるが、それは現実とは異なっている。あくまでも、「貨幣商品の価値表現」という範囲でのことだと考えるべきではないか。ここでは最初に貨幣形態(形態Ⅳ)または一般的価値形態(形態Ⅲ)を思い浮かべたうえで、それを逆転させた形態を考えているのではないか。

●「貨幣は他の諸商品の一般的等価物」とは? 
貨幣形態(第Ⅳ形態)を考えればよい。貨幣は、他の諸商品に対して直接的交換可能性を持っている。

●「一般的商品」とは?
どんな商品にでも変わることのできる商品ということ、特定の使用価値に制約されていないと言う意味で「一般的」と呼ぶのではないだろうか。ドイツ語ではallgemeine Ware
【英語版】
Since all commodities are merely particular equivalents of money, the latter being their universal equivalent, they, with regard to the latter as the universal commodity, play the parts of particular commodities.

 一般的商品→ universal commodity=普遍的な商品 普遍=すべてのものに共通していること
 特殊的諸商品→particular commodities

ドイツ語allgemeineは英語ではgeneralと訳されることもある。
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by shihonron | 2006-07-30 16:04 | 学習会の報告


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