『資本論』を読む会の報告

shihonron.exblog.jp
ブログトップ
2007年 02月 25日

第48回  2月20日  第3章 貨幣または商品流通 第2節 流通手段 c 鋳貨 価値章標

2月20日(火)に第48回の学習会を行いました。「読む会通信」№237を使って前回の復習をした後、「第3章 貨幣または商品流通 第2節 流通手段 c 鋳貨 価値章標」の第1段落から第6段落までを輪読、検討しました。

■テキストの内容と議論    
第3章 貨幣または商品流通 第2節 流通手段 c 鋳貨 価値章標 


第1段落
・流通手段としての貨幣の機能からは、その鋳貨姿態が生ずる。
・諸商品の価格または貨幣名として想像されている金の重量部分は、流通の中では同名の金片または鋳貨として商品に相対しなければならない。
・価格の度量標準の確定と同様に、鋳造の仕事は国家の手に帰する。
・金銀が鋳貨として身につけ世界市場では再び脱ぎ捨てるいろいろな国家的制服には、商品流通の国内的または国民的部面とそま一般的な世界市場部面との分離が現われている。

■英語版では、表題は《 C. Coin and symbols of value 》となっている。

■流通手段としての貨幣の機能について、大谷禎之介氏は《商品流通の媒介者として、貨幣は流通手段という機能を受け取る。流通手段としての貨幣は、商品流通のなかで、たえず流通から脱落する商品のあとを埋めながら、商品所持者のあいだを転々と渡っていくことによって、商品生産社会における物質代謝を媒介するのである。》(『図解社会経済学』100頁)と述べている。

■鋳貨とその流通について、大谷禎之介氏は《流通手段としての金は、もともとは、売買のたびに、その純度が確かめられ、その重量が計量された秤量貨幣(ひょうりょうかへい)であった。しかし、取引のたびに試金や計量を行なうのは煩わしいので、商品流通の発展とともに、次第に、一定の極印(ごくいん)と形状とをもった鋳貨が生まれてくる。鋳貨とは、それがもつ一定の極印と形状とによって、円、ポンド等々という貨幣名で言い表された一定の金量を含んでいることを示す金片である。そして金地金(きんじがね)を鋳貨にする技術的な作業、つまり鋳造は、価格の度量標準の確定と同様に、国家の手によって行なわれるようになり、国家が鋳貨が含む金の品位(ひんい)と量目(りょうめ 重量)とを保証するようになる。》(『図解社会経済学』101頁)と述べている。

■ 【極印】ごくいん (大辞林 第二版より)
(1)江戸時代、品質証明あるいは偽造防止・盗難防止のため、品物や金銀貨に押した文字や印形。
(2)永久に残るしるし。いつまでも消えない証拠。刻印。

■【品位】ひんい(大辞林 第二版より)
(1)見る人が自然に尊敬したくなるような気高さ、おごそかさ。品。
「―が身にそなわる」「―に欠ける」
(2)金銀の地金や金貨銀貨の中に含まれる金・銀の割合。
「金貨の―が落ちる」
(3)鉱石中の金属の割合。
「―の高い鉱石」

■【量目】りょうめ (大辞林 第二版より)
量った品物の目方。はかりめ。りょうもく。
「―が不足だ」

●「金銀が鋳貨として身につけ世界市場では再び脱ぎ捨てるいろいろな国家的制服」とは何のことかという疑問が出され、「1ポンド金貨」とか「1円金貨」といった国によって違う貨幣単位のことだろうという結論になりました。世界市場では、鋳貨という制服を脱ぎ捨てて金地金の形態で貨幣として機能する。

第2段落
・要するに、金鋳貨と金地金とは元来はただ外見によって区別されるだけで、金はいつでも一方の形態から他方の形態に変わることができるのである。
・しかし、鋳造所からの道は同時に坩堝(るつぼ)への道でもある。
・すなわち、流通しているうちに金鋳貨は、あるものはより多く、あるものはより少なく摩滅する。
・金の称号と金の実体とが、名目純分と実質純分とが、その分離過程を開始する。
・同名の金鋳貨でも、重量が違うために、価値の違うものとなる。
・流通手段としての金は価格の度量標準としての金から離れ、したがってまた、それによって価格を実現される諸商品の現実の等価物ではなくなる。
・18世紀までの中世および近世の鋳造史は、このような混乱の歴史をなしている。
・鋳貨の金存在を金仮象に転化させるという、すなわち鋳貨をその公称金属部分の象徴に転化させるという、流通過程の自然的発生的な傾向は、金属喪失が一個の金貨を通用不能にし廃貨とするその程度についての最も近代的な法律によっても承認されている。

●「坩堝への道」とは何かという疑問が出され、「鋳貨が摩滅して通用しなくなり、溶かされ、再び鋳造されること。鋳造所への道ということではないか」という意見が出されました。

■ 【純分】じゅんぶん(大辞林 第二版より)
金・銀貨、地金などに含まれている金または銀の分量。純度。

■価格の度量標準とは、価格で表象された金量を計量するための度量標準のこと。ある金量を価格の度量単位として固定し、その単位でもって価格で表象された金量を計ることになる。0.75グラムの金=1円とすれば、15グラムの金は、20円である。

●「混乱の歴史」の内容は何かとの疑問が出されました。これについて「悪貨鋳造などのことではないか」との発言がありました。


■注81に関連して鋳造料について話題になりました。
「英国は貨幣の自由鋳造の国であって金塊を持って行って其の代りに金貨を受け取る時には金貨鋳造料は全然免除される事となって居る、此の点は米国と同様である即ち金貨に鋳造せん事を希望する者は先ず金塊を英国の造幣局に持ち行けば金塊の品位其他の点が判明して後金塊に相当しる金貨を受け取るのであるが其の間に多少の時日を要するので至急に金貨を受け取りたい者は英国銀行へ行けば標準金一オンスに付て七七志九片で買上げる事になって居るが英国銀行の方は造幣局と異って取扱手数料並に利子として標準金一オンスに付て一片半だけ差引いて七七志九片で買い上ぐることになっている」 (「各国に於ける金に関する取引其他の状況」大阪時事新報 1925.5.2-1925.5.8 )
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00075098&TYPE=HTML_FILE&POS=1&TOP_METAID=00075098

第3段落
・貨幣流通そのものが鋳貨の実質純分を名目純分から分離し、その金属定在をその機能定在から分離するとすれば、貨幣流通は、金属貨幣がその鋳貨機能では他の材料から成っている章標または象徴によって置き替えられるという可能性を、潜在的に含んでいる。
・金または銀の微少な重量部分を鋳造することの技術上の障害、また、最初はより高級な金属のかわりにより低級な金属が、金のかわりにに銀が、銀のかわりに銅が価値尺度として役だっており、したがってより高級な金属がそれらを退位させる瞬間にそれらが貨幣として流通しているという事情は、銀製や銅製の章標が金鋳貨の代理として演ずる役割を歴史的に証明する。
・これらの金属が金の代理をするのは、商品流通のなかでも、鋳貨が最も急速に流通し、したがって最も急速に摩滅するような、すなわち売買が最小の規模で絶え間なく繰り返されるような領域である。
・これらの衛星が金そのものの地位に定着するのを阻止するために、金のかわりにこれらの金属だけが支払われる場合にそれを受け取らなければならない割合が、法律によって非常に低く規定される。
・いろいろな鋳貨種類が流通する特殊な諸領域は、もちろん、互いに入りまじっている。
・補助鋳貨は、最小の金鋳貨の何分の一かの支払いのために金と並んで現われる。
・金は、絶えず少額流通にはいるが、補助鋳貨との引き替えによって同様に絶えずそこから投げだされる。

●「これらの衛星」とは何かという疑問が出され、「銀製や銅製の章標のこと。衛星は惑星の周りを公転している天体のことだが、金を中心に(従属的に)その周りを回っているといった感じを表現している」との発言がありました。

●「金そのものの地位に定着する」とはどういう意味かとの疑問が出されました。「貨幣商品という地位のことではないか」との意見が出されました。これに対して「補助鋳貨が貨幣商品となるのを阻止するために、それを受け取らなければならない割合が、法律によって非常に低く規定されるというのは意味がよく分らない」との発言もありました。明確な結論には至りませんでした。

★補助鋳貨は、あくまでも流通手段としての金を代理するだけである。それは、流通手段としても補助的な地位に留まると考えられないだろうか。金が流通手段であるからこそ、その代理物としての補助鋳貨は流通手段として機能することができるのである。

■ 「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」の第七条で「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。」と定められている。            http://list.room.ne.jp/~lawtext/1987L042.html

第4段落
・銀製や銅製の章標の金属純分は、法律によって任意に規定されている。
・それらは、流通しているうちに金鋳貨よりももっと速く摩滅する。
・それゆえ、それらの鋳貨機能は事実上それらの重量にはかかわりのないものになる。
・すなわち、およそ価値というものとはかかわりのないものになる。
・金の鋳貨定在は完全にその価値実体から分離する。
・つまり、相対的に無価値なもの、紙券が、金に代わって鋳貨として機能することができる。
・金属製の貨幣章標では、純粋に象徴的な性格はまだいくらか隠されている。
・紙幣では、それが一見してわかるように現われている。
・要するに、困難なのはただ第一歩だけだ[ce n'est que le premier pas qui coute ]というわけである。

●「銀製や銅製の章標が金鋳貨よりももっと速く摩滅するのは、金属としての性質によるものだろうか」という疑問が出され、「補助鋳貨は、少額取引で用いられ、その流通速度が極めては速いから摩滅しやすいということではないか」との発言がありました。

★硬度は、金2.5、銀2.5,銅3.0である。硬度が高いほど摩滅しにくいと考えられるから、同じ条件であれば、金よりも銅の方が摩滅しにくいと考えられる。したがって、銀製や銅製の補助鋳貨が金貨よりも摩滅しやすいことの原因を自然的性質に求めることはできない。

●「《紙券が、金に代わって鋳貨として機能することができる》と述べられているが、ここでの《鋳貨》は、どういう意味だろうか」との疑問が出され、「鋳造された金属貨幣という文字通りの意味ではなく、流通手段ということだろう」との発言がありました。

●「《困難なのはただ第一歩だけ》と述べられているが、その第一歩とはどんな事柄のことか」との疑問が出され、金鋳貨が流通の中で摩滅し、金の称号が金の実体から乖離することをさしているのではないか。それは、価値をもたないものが金に代わって流通手段としての機能を果たす第一歩ということではないか」との発言がありました。

第5段落
・ここで問題にするのは、ただ、強制通用力のある国家紙幣だけである。
・それは直接に金属流通から生まれてくる。
・これに反して、信用貨幣は、単純な商品流通の立場からはまだまったくわれわれに知られていない諸関係を前提する。
・だが、ついでに言えば、本来の貨幣紙幣が流通手段としての貨幣の機能から生ずるように、信用貨幣は、支払手段としての貨幣の機能にその自然発生的な根源をもっているのである。

■ 【強制通用力】(大辞林 第二版より)
法律によって貨幣に与えられた支払い手段としての通用力。本位貨幣・日本銀行券には無制限の通用力が備わる。それ以外の臨時通貨・補助貨幣などの貨幣については一定の限度がある。

●「国家紙幣」「信用貨幣」「支払手段」という言葉が出てくるが、本格的には後に取り扱われるということを確認しました。

■ 紙幣 しへい
紙を素材とする貨幣をいい,金属貨幣に対する。狭義には政府紙幣のみをさすが,広義には銀行券も含む。両者は本来異質のものであるが,1930年代に世界的に銀行券が兌換(だかん)を停止され不換紙幣となって以来,その性格は政府紙幣に近くなった。政府紙幣は国家により強制通用力を与えられて流通し,流通必要量以上に発行されると価値を減じ,インフレーションを招く。最古の紙幣は中国で現れたとされる。日本では江戸時代の藩札などを先駆とし,維新後に財政収入の不足を補うため太政官(だじょうかん)札,大蔵省兌換(だかん)証券,民部省札などの政府紙幣が相次いで発行され,インフレを招いた。紙幣整理事業ののち1885年日本銀行兌換券が発行されたが,1931年兌換停止。政府紙幣は1899年通用廃止とされ,両大戦の際発行された小額紙幣も1953年廃止。現在は日本銀行券のみが流通している。(マイペディア)

■ 政府紙幣 せいふしへい
政府によって法貨として規定され,強制通用力を与えられた紙幣。政府が財政支出をまかなうために払い出すことによって流通に入り込み,一般に不換紙幣である。銀行券と違い,生産物の生産に直接見合うものではなく,自動的に回収されないのでインフレーションの発生と結びつくことが多い。(マイペディア)

■ 信用貨幣 しんようかへい
信用を基礎にして流通する貨幣(厳密には貨幣代用物)。基本的には支払手段としての貨幣機能から生じたもので,最初に商業信用に基づいて商業手形が信用貨幣になったが,銀行信用の発展に伴い,これを基礎にして流通する銀行券が現代の代表的な信用貨幣になっている。当座預金による預金貨幣はその発展した形態。 (マイペディア)

■手形 てがた
一定の金額の支払を目的とする有価証券。約束手形と為替手形の2形式がある。手形は金銭債権を表すもので,権利は証券と密接に結合しており,権利の発生,移転,行使のすべてが証券により行われる。金銭の支払,信用供与,送金または取立て等の機能を果たす。手形の法律的性格として,(1)有価証券,(2)要式証券(法律で定めた方式によって作成しなければならない),(3)設権証券(手形の振出しに見合う取引がなくても証券が交付されれば権利が発生する),(4)指図証券,(5)無因証券(発行の原因にかかわりなく,それ自体有効なものとされる),(6)文言証券(記載文句以外の効力はない),(7)呈示証券(権利の行使は,現物を呈示することが要件となる),(8)受戻証券(金銭を支払う際に,手形と引換えでなければ債務の弁済にはならない)が挙げられる。

■商業手形 しょうぎょうてがた
商取引の代金決済のため振り出された手形。その支払が確実で,期間も普通は短く,手形割引によって銀行から融資を受ける対象となる。融通手形と対比して真正手形ともいう。

■小切手 こぎって
振出人が銀行に一定金額の支払を委託する形式で振り出した有価証券。前提として銀行と当座預金の契約を結び,預金を小切手により処分することを約す。手形と異なりすべて一覧払証券であり呈示があれば直ちに支払う必要がある。現金に代わる支払手段として広く利用される。持参人払式小切手と記名式小切手とがある。

■銀行券 ぎんこうけん
銀行が発行する紙券通貨で,近世に入りロンドンの金匠が金貨等の預り証として発行した金匠手形(ゴールドスミス・ノート),さらに産業革命時に各々の銀行が発行した約束手形が流通範囲を広げ,発展したものである。19世紀半ばころから各国とも中央銀行が発券を独占。政府紙幣と異なる点は,第1にその本質が信用貨幣である点,第2にその国の経済の内在的需要によって発行されるので,返済の形で銀行に還流し,悪性インフレを招かないということである。中央銀行券は当初,金本位制度のもとで金と兌換(だかん)されるものであったが,管理通貨制度の採用後は不換紙幣となった。

第6段落
・1ポンド・スターリングとか5ポンド・スターリングなどの貨幣名の印刷されてある紙券が、国家によって外から流通過程に投げ込まれる。
・それが現実に同名の金の額に代わって流通するかぎり、その運動にはただ貨幣流通そのものの諸法則が反映するだけである。
・紙幣流通の独自な法則は、ただ金に対する紙幣の代表関係から生じうるだけである。
・そして、この法則は、簡単に言えば、次のようなことである。
・すなわち、紙幣の発行は、紙幣によって象徴的に表される金(または銀)が現実に流通しなければならないであろう量に制限されるべきである、というのである。
・ところで、流通部面が吸収しうる金量は、たしかに、ある平均水準の上下に絶えず動揺している。
・とはいえ、与えられた一国における流津手段の量は、経験的に確認される一定の最小限より下にはけつして下がらない。
・この最小量が絶えずその成分を取り替えるということ、すなわち、つねに違った金片から成っているということは、もちろん、この最小量の大きさを少しも変えはしないし、それが流通部面を絶えず駆けまわっているということを少しも変えはしない。
・それだからこそ、この最小量は紙製の象徴によって置き換えられることができるのである。
・これに反して、もし今日すべての流通経路がその貨幣吸収能力の最大限まで満たされてしまうならば、これらの水路は、商品流通のために明日はあふれてしまうかもしれない。
・およそ限度というものがなくなってしまうのである。
・しかし、紙幣がその限度、すなわち流通しうるであろう同じ名称の金鋳貨の量を越えても、それは、一般的な信用崩壊の危険は別として、商品世界のなかでは、やはり、この世界の内在的な諸法則によって規定されている金量、つまりちょうど代表されうるだけの金量を表しているのである。
・紙券の量が、たとえば1オンズずつの金のかわりに2オンスずつの金を表すとすれば、事実上、たとえば1ポンド・スターリングは、たとえば1/4オンスの金の貨幣名となる。
・結果は、ちょうど価格の尺度としての金の機能が変えられたようなものである。
・したがって、以前は1ポンドという価格で表されていたのと同じ価値が、いまでは2ポンドという価格で表されることになるのである。
●「国家紙幣は、どのように流通過程に投げ入れられるのか」という疑問が出され、「国家が、買い手として国家紙幣で支払うことによってではないか」との発言がありました。

●「貨幣流通そのものの諸法則」とは「諸商品の価格総額 / 同名の貨幣片の通流回数 = 流通手段として機能する貨幣の量」ということが念頭に置かれている。

★必要な流通手段の量が75000000グラムの金=75トンの金=1億円であり、流通に投げ込まれた国家紙幣の額が2億円で、それが流通手段としての機能をすべて果たしているとする。2億円の国家紙幣は75トンの金を表しており、かつては1円という価格であった商品(その価値が0.75グラムの金の価値と等しい商品)は、今では2円という価格をもつことになる。それは、0.75グラムの金=1円という価格の尺度(度量標準)が、0.375グラムの金=1円に変えられた場合の結果と同じことである。


[PR]

by shihonron | 2007-02-25 13:09 | 学習会の報告


<< 第49回  2月27日  第3...      第47回  2月6日  第3章... >>