『資本論』を読む会の報告

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2008年 01月 14日

第85回 1月8日 第7章 剰余価値率 第1節 労働力の搾取度 

1月8日(火)に第85回の学習会を行いました。「読む会通信№265」をもとに前回の復習を行なった後、「第7章 剰余価値率 第1節 労働力の搾取度」の第11段落から最後(第19段落)までと「第2節 生産物の比例配分的部分での生産物価値の表示」の第1段落から第10段落までを輪読、検討しました。

 「通信№265」で紹介された大谷禎之介氏見解について「資本主義社会においてはいえるとしても、奴隷制とか封建制といった階級社会で必須生活手段は剰余生産物に比べて量・質ともに貧弱であらざるをえないといえるのだろうか。奴隷制社会などでは、必須生活手段は量的には剰余生産物より大きかったのではないか」との疑問が出されました。

「第2節 生産物の比例配分的部分での生産物価値の表示」の部分については、この節が全部終わったあとでまとめて報告します。
 
●は議論の報告、■は資料、★は報告者によるまとめや意見や問題提起です。

■テキストの内容と議論
第7章 剰余価値率 第1節 労働力の搾取度
第11段落

・労働過程の第二の期間、すなわち労働者が必要労働の限界を超えて労苦する期間は、彼にとっては労働を、すなわち労働力の支出を必要とするには違いないが、しかし彼のためにはなんの価値も形成しない。
・それは、無からの創造の全魅力をもって資本家にほほえみかける剰余価値を形成する。
・労働日のこの部分を私は剰余労働時間と呼び、また、この時間に支出される労働を剰余労働(surplus labour)と呼ぶ。
・価値一般の認識のためには、価値を単なる労働時間の凝固として、単に対象化された労働として把握することが決定的であるように、剰余価値の認識のためには、それを単なる剰余労働時間の凝固として、単に対象化された剰余労働として把握することが決定的である。
・ただ、この剰余労働が直接生産者から、労働者から取り上げられる形態だけが、いろいろな経済的社会構成体を、たとえば奴隷制の社会を賃労働の社会から、区別するのである。

★ここでマルクスは剰余労働を規定している。それは労働日のうち「労働者が必要労働の限界を超えて労苦する期間」であり、それは剰余価値を形成する。

■注30で取り上げられているロッシャーについて『直接的生産過程の所結果』で以下のように述べている。
《W・ロッシャー氏は、明らかに、イギリスの経済学者たちが言っていることには感づきさえもせず、おまけに、シーニアが資本を「節欲」と名づけていることを時期はずれに思いすのであるが、彼は次のような、文法的にも「器用な」教授的評言を述べている。「リカードの学派は資本をも『貯えられた労働』として労働の概念に包摂させるのをつねとする。これは不器用である。なぜなら、じっさい(!)資本所有者は、なんといっても(!)、資本の単なる(!)生産(!)や維持よりも多くのこと(!)をなしたのだからである。自分の享楽の抑制こそがまさにそれであって、その代償として彼はたとえば利子を要求するのである」(ロッシャー、前掲書[『国民経済学原理』])》(国民文庫65ページ)

■ ロッシャー Wilhelm Georg Friedrich Roscher 1817‐94
ドイツの経済学者で,ドイツ歴史学派の創始者の一人。歴史学と政治学の相互浸透を図ろうとするゲッティンゲン大学の伝統のなかで歴史学と政治学を修め,学位論文は歴史と政治学との関係を論じるものであった。以後ゲッティンゲン大学とライプチヒ大学で教鞭をとる。 1843 年に公刊された《歴史的方法による国家経済学要綱》は歴史学派宣言とされ,その中で彼は,F.K.von サビニーや K.F.アイヒホルンの歴史的方法が法学に対して成し遂げたところを国家経済に対して成し遂げようとする旨を言明している。古典派は歴史的観点を欠くゆえに批判されるが,彼にあって古典派の理論研究と彼の歴史研究は必ずしも対立するものでなく,むしろ相互に補完するものと位置づけられていた。  (間宮 陽介 「世界大百科事典」)

第12段落
・可変資本の価値はそれで買われる労働力の価値に等しいのだから、また、この労働力の価値は労働日の必要部分を規定しており、他方、剰余価値はまた労働日の超過部分によって規定されているのだから、そこで、可変資本にたいする剰余価値の比率は、必要労働にたいする剰余労働の比率であり、言い換えれば、剰余価値率=m/v=剰余労働/必要労働ということになる。
・この二つの比率は、同じ関係を別々の形で、すなわち一方は対象化された労働の形で、他方は流動している労働の形で表しているのである。

第13段落
・それゆえ、剰余価値率は、資本による労働力の搾取度、または資本家による労働者の搾取度の正確な表現なのである。

第14段落
・われわれの仮定によれば、生産物の価値は410ポンドc+90ポンドv+90ポンドm であり、前貸資本は500ポンドだった。
・剰余価値は90で前貸資本は500なのだから、ふつうの計算方法では、剰余価値率(利潤率と混同された)は18%と算出され、この比率の低さは、ケアリ氏やその他の調和論者を感動させるかもしれない。
・しかし、じつは剰余価値率は m/C または m/(c+v) ではなくて m/v であり、つまり、90/500ではなくて、90/90=100%であって、外見上の搾取度の5倍よりも大きいのである。
・いま、この与えられた場合には、われわれは労働日の絶対的な長さも、労働過程の期間(日や週など)も、最後にまた90ポンドという可変資本が一時に動かす労働者数も知らないのであるが、それにもかかわらず、剰余価値率m/vは、それが剰余労働/必要労働に転換されることによって、労働日の二つの成分の相互間の比率を正確にわれわれに示しているのである。
・それは100%である。
・つまり、労働者は1労働日の半分では自分のために、あとの半分では資本家のために労働したのである。

第15段落
・要するに、剰余価値率の計算方法は、簡単に言えば、次のようになるのである。
・まず生産物価値全体をとって、そこにただ再現するだけの不変資本価値をゼロに等しいとする。
・残りの価値額は、商品の形成過程で現実に生産された唯一の価値生産物である。
・剰余価値が与えられていれば、われわれはそれをこの価値生産物から引き去って可変資本を見いだすことになる。
・可変資本が与えられていてわれわれが剰余価値を求める場合は、逆である。
・もし、両方とも与えられていれば、可変資本にたいする剰余価値の比率m/vを計算するという最後の運算だけをやればよいのである。

第16段落
・方法はこのように簡単ではあるが、その根底にあって読者には不慣れな見方になじむように、いくつかの例で読者を訓練しておくことが適当だと思われる。

第17段落
・そこでまず、1万個のミュール紡錘をそなえ、アメリカ綿から32番手の糸を紡ぎ、毎週1紡錘あたり1ポンドのいとをせいさんするという一紡績工場の例をとろう。
・屑は6%とする。
・すると、毎週10600ポンドの綿花が加工されて、10000ポンドの糸と600ポンドの屑とになる。
・1871年4月にはこの綿花は1ポンドあたり3/4ペンスで、10600ポンドでは約342ポンド・スターリングになる。
・1万個の紡錘は、前紡機と蒸気機関とを含めて、1紡錘あたり1ポンド・スターリング、したがって10000ポンド・スターリングである。
・その損耗は、10%=1000ポンド・スターリング、1週間では20ポンド・スターリングである。
・工場建物の賃借料は、300ポンド・スターリング、週あたり6ポンド・スターリングである。
・石炭は(1時間1馬力当たり4ポンド、100馬力(指示器)で毎週60時間とし、建物の採暖用を含めて)週当たり11トン、1トン当たり8シリング6ペンスで、週当たり約4と1/2ポンド・スターリングとなる。
・ガスは週当たり1ポンド・スターリング、油は週当たり4と1/2ポンド・スターリング、したがって補助材料の合計は週当たり10ポンド・スターリングとなる。
・こうして、不変価値部分は週当たり378ポンド・スターリングである。
・労賃は、週当たり52ポンド・スターリングである。
・糸の価値は1ポンドにつき12と1/2ペンス、10000ポンドでは510ポンド・スターリングであり、したがって剰余価値は510-430=80ポンド・スターリングである。
・われわれは不変資本価値部分378ポンド・スターリングをゼロに等しいとする。
・というのは、それは毎週の価値形成には参加しないからである。
・そこで、毎週の価値生産物132=52v+80mポンド・スターリングが残る。
・したがって、剰余価値率は80/52であり、153と11/13%となる。
・10時間の平均労働日では、必要労働は3と31/33時間で剰余労働時間は6と2/33時間である。

■1シリング=12ペンス

★週当たり 綿花        342
      機械の損耗      20
      工場建物の賃借料  6              
       
      石炭          4と1/2
      ガス           1
      油        4と1/2  補助材料 10 

                      不変資本部分 378
       
      労賃        52    可変資本部分

       生産物価値     510

剰余価値 510-(342+20+6+10)-52
     =510-378-52=80 

剰余価値率 80/52=153と11/13%

剰余労働:必要労働=剰余価値:労賃=80:52=20:13

 1労働日(10時間)のうちの必要労働=10×52/132
=10×13/33
=130/33
=3と31/33(時間)

1労働日(10時間)のうちの剰余労働=10×80/132
=10×20/33
=200/33
=6と2/33(時間)


第18段落・ジューコブは、1815年について、1クォーター当たり80シリングの小麦価格、1エーカー当たり22ブッシェルの平均収穫、したがって1エーカーは11ポンド・スターリングをあげるものと仮定して、次のような計算を与えている。
・それは種々の項目が前もって補正されているためにきわめて不完全ではあるがわれわれの目的には十分にまにあう計算である。

         1エーカー当たりの価値生産
種子(小麦)  1ポンド  9シリング        
労賃      3ポンド10シリング   
借地農業者利潤および利子 1ポンド 2シリング   
計              7ポンド9シリング  

十分の一税   1ポンド 1シリング
肥料       2ポンド 10シリング
地代       1ポンド 8シリング 
計         3ポンド11シリング

■1ポンド・スターリング=20シリング

第19段落
・生産物の価格はその価値に等しいという前提はつねに変わらないとすれば、剰余価値は、ここでは利潤や利子や十分の一税などといういろいろな項目に分割される。
・これらの項目はわれわれにはどうでもよい。
・われわれはそれらを合計して3ポンド11シリングという剰余価値を得る。
・種子や肥料の3ポンド1219シリングは、不変資本部分としてゼロと等しいとする。
・すると、前貸可変資本3ポンド10シリングが残り、それに代わって、3ポンド10シリング・プラス・3ポンド11シリングという新価値が生産されている。
・そこで、m/v=3ポンド11シリング/3ポンド10シリングとなり、100%よりも大きい。
・労働者は彼の労働日の半分よりも多くを剰余価値の生産のために費やし、これをいろいろな人々がいろいろな口実のもとに自分たちのあいだで分配するのである。


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by shihonron | 2008-01-14 12:21 | 学習会の報告


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