『資本論』を読む会の報告

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2008年 01月 22日

第87回 1月22日 第3節 シーニアの「最後の一時間」ほか」

1月22日(火)に第87回の学習会を行いました。「第3節 シーニアの『最後の一時間』」の第4段落から最後(第4段落)までと「第4節 剰余生産物」を輪読、検討しました。

■テキストの内容要約と議論
第3節 シーニアの「最後の1時間」


・シーニアは純益の全部が最後の1時間から引き出されていると主張する。彼の説明は以下のようなものである。

・投資額     100000ポンド・スターリング
・工場建物と機械 80000ポンド・スターリング
・原料と労賃   20000ポンド・スターリング
・売上高     115000ポンド・スターリング
・総収益      15000ポンド・スターリング

・115000のうちの100000は、ただ資本を補填するだけ。
・15000のうち5000は、工場と機械類の損耗を補填する。(だから、純益は10000ということになる。)
・「あとに残る2/23、すなわち毎日の二つの最後の半労働時間は、10%の純益を生産する。それゆえ、価値は元のままとして、この工場が11時間半ではなくて13時間作業してもよいならば、流動資本としての約2600ポンド・スターリングの追加によって、純益は2倍よりもおおくなるであろう。他方、もし労働時間が毎日1時間だけ短縮されるならば純益はなくなるであろうし、またもし1時間半短されるならば総収益もなくなるであろう。」

・注32への補足ではシーニアの混乱を指摘し、かれが本当に言いたかったことをまとめている。

・年間労働は11時間半に年間労働日数をかけたものから成っているが、ここでは年間労働を1労働日(11時間半=23/2時間)によって表現している

・23/2労働時間 115000ポンド・スターリングの年間生産物を生産

・20/2労働時間 100000ポンド・スターリングを生産(前貸資本を補填)
・3/2労働時間   15000ポンド・スターリングを生産(総収益を生産)
・この3/2労働時間のうち
  1/2労働時間は5000ポンド・スターリングを生産(工場や機械類の損耗分を補填)
  2/2労働時間は10000ポンド・スターリングを生産(純益を生産)

・シーニアは生産物の最後の2/23を労働日そのものの諸部分に変えているのである。

・機械類や工場建物や原料と労働とをごっちゃにしていること。
・一方の側には工場建物や機械類や原料などに含まれている不変資本を置き、他方の側には労賃として前貸しされる資本をおくべきだったのである。
・労働者は1時間で労賃を再生産または補填するということになれば以下のように続けるべきだったのである。
・諸君のいうところでは、労働者は最後から2番目の1時間で自分の労賃を生産し、最後の1時間で諸君の剰余価値または純益を生産する。

・彼は、同じ長さの時間では彼が、価値を生産するのは、ただ彼が労働を支出するかぎりでのことであって、彼の労働の量は彼の労働時間で計られるのだから、最後から2番目の1時間の生産物は、最後の1時間の生産物と同じ価値をもっている。
・さらに、彼が価値を生産するのは、ただ彼が労働を支出するかぎりでのことであって、彼の労働の量は彼の労働時間によって計られる。
・それは諸君の言うところによれば、1日に11時間半である。
・この11時間半の一部分を彼は自分の労賃の生産または補填のために費やし、他の部分を諸君の純益の生産のために費やす。
・その他には彼は1労働日のあいだ何もしない。
・ところが、陳述によれば、彼の賃金と彼の提供する剰余価値は同じ大きさの価値なのだから、明らかに彼は自分の労賃を53/4時間で生産し、そして諸君の純益を別の53/4時間で生産するのである。
・さらに2時間分の糸生産物の価値は、彼の労賃・プラス・諸君の純益という価値額に等しいのだから、この糸価値は、111/2労働時間で計られ、最後から2番目の1時間の生産物は53/4時間で計られ、最後の1時間の生産物もやはりそれで計られなければならない。

★新たにつけ加えられた(形成された)価値は、労賃と純益の和に等しい。それは11時間半の労働が対象化したものである。

・われわれは、いま、やっかいな点にきている。
・そこで、注意せよ! 最後から2番目の1労働時間も、最初のそれと同じに普通の1労働時間である。
・それよりも多くも少なくもない。
・それでは、どうして紡績工は、53/4時間を表す糸価値を1労働時間で生産することができるのか?
・彼はじつはそんな奇跡は行わないのである。
・彼が1労働時間で使用価値として生産するものは、一定量の糸である。
・この糸の価値は53/4時間で計られ、そのうち43/4は、毎年消費される生産手段すなわち綿花や機械類などのうちに彼の助力なしに含まれており、4/4すなわち1時間は彼自身によってつけ加えられている。
・つまり彼の労賃は53/4時間で生産され、また1紡績時間の糸生産物もやはり53/4労働時間を含んでいるのだから、彼の53/4紡績時間の価値生産物が1紡績時間の生産物価値に等しいということは、けっして魔法でもなんでもないのである。

★ここでマルクスが前提としているのは、1労働日11時間半、必要労働時間も剰余労働時間もともに1時間、つまり剰余価値率=100% ということである。
 c:v:m=91/2:1:1=19:2:2 であり、
 c:(v+m)=19:4=43/4:1 である。

・ところで、もし諸君が、綿花や機械類などの価値の再生産または「補填」のために労働者が彼の労働日のただの一瞬間でも失うものと考えるならば、それはまったく諸君の思い違いである。
・彼の労働が綿花や紡錘を糸にすることによって、つまり彼が紡績することによって、綿花や紡錘の価値はひとりでに糸に移るのである。
・これは彼の労働の質のおかげであって、その量のおかげではない。
・もちろん、彼は1時間では半時間よりも多くの綿花価値などを糸に移すであろう。
・しかし、それはただ彼が1時間では半時間よりも多くの綿花を紡ぐからに他ならない。
・そこで、諸君にもおわかりであろう。
・労働者がさいごから2番目の1時間で彼の労賃の価値を生産し最後の1時間で純益を生産するという諸君の言い方の意味するものは、彼の労働日のうちの2時間の糸生産物には、その2時間が前にあろうがあとにあろうが、111/2労働時間が、すなわち彼のまる1労働日とちょうど同じだけの時間が具体化されているということ以外のなにものでもないのである。
・そして、労働者は前半の53/4時間では自分の労賃を生産し後半の53/4時間では諸君の純益を生産するという言い方の意味するところもまた、諸君は前半の53/4時間には支払うが後半の53/4時間には支払わないということ以外のなにものでもないのである。
・私が労働への支払いと言い、労働力への支払いと言わないのは、諸君にわかる俗語で話すためである。

★俗語を用いないで述べるとどうなるのであろうか?
資本家は労働者から労働力をその価値どおりに買う。
労働力の価値が1万円=4時間の労働の対象化したものであったとしても、それは労働者が4時間を超えて働くことを排除しない。
労働者が8時間労働すれば、8時間の労働が対象化された価値=2万円が生産される。
資本家は、1万円と引き替えに2万円を手に入れることができる。
資本家は、対象化した4時間の労働と引き替えに8時間の労働を自分のものとすることができるのである。
8時間の労働のうち、4時間は労働力の価値に等しい部分=必要労働時間であり、残りの4時間は労働者が無償で資本家に引き渡す部分=剰余労働時間である。

・そこで、諸君が代価を支払う労働時間と支払わない労働時間との割合とを比べてみれば、諸君はそれが半日対半日、つまり100%であるのを見いだすであろう。
・余分の1時間をただの剰余労働につけ加えれば、剰余労働は53/4時間から71/4時間に増え、剰余価値率は100%から126 2/23%に上がる。
・10時間半に労働日が短縮されるなら、剰余労働は1時間減って43/4時間になり、剰余価値率は14/23パーセントになるのであって、純益が全部なくなったりはしない。

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第4節 剰余生産物 
・生産物のうち剰余価値を表している部分をわれわれは剰余生産物と呼ぶ。
・剰余価値率が、資本の総額にたいする剰余価値の比率によってではなく、資本の可変的成分にたいする剰余価値の比率によって規定されるように、剰余生産物の高さは、総生産物の残余に対するそれの比率によってではなく、必要労働を表している生産物部分にたいする剰余生産物の比率によって形成される。
・剰余生産物の生産が資本主義的生産の規定的な目的であるように、生産物の絶対量によってではなく剰余生産物の相対量によって富の高さは計られるのである。

●「本文ではここで初めて剰余生産物という言葉が出てくる。後の箇所での利潤率についての叙述でも、まず率が出てきている」との発言がありました。

★剰余生産物とは、生産物のうち剰余価値を表している部分だとマルクスは定義している。使用価値としてではなく、価値の問題とされている。価値は、労働の対象化であり、価値の大きさは労働時間によって規定される。物(使用価値)の量が問題なのではない、問題なのは必要労働(時間)と剰余労働(時間)であり、その比率である。そういう意味では、ここでもまず率が取り上げられているといえる。

■マルクスコレクションでは《剰余生産物の高さ》は《剰余生産物の大きさ》、《富の高さ》は《富のレベル》と訳されている。新日本出版社版では《剰余生産物の水準》《富の高さ》となっている。

・必要労働と剰余労働との合計、すなわち労働者が自分の労働力の補填価値と剰余価値とを生産する時間の合計は、彼の労働時間の絶対的な大きさ――1労働日(working day)をなしている。

■労働日 ろうどうび working‐day∥workday∥Arbeitstag[ドイツ]

1 日 24 時間のうち,労働者が賃金を得るため雇用主に提供する労働時間のことで,必要労働時間と剰余労働時間の合計。労働者は労働による肉体的・精神的疲労を回復するため,睡眠をとり,食事し,休息をとり,さらに市民として慣習的・文化的欲求を満たさねばならない。そのための労働者に自由な時間は弾力的で短縮可能であり,とくに労働者間で雇用と賃金をめぐる競争が激しい場合は,それが労働者を長時間労働に駆りたて,疲労の回復を遅らせたり,極端な場合はその回復を不可能にさせる。それゆえ歴史上,労働組合は労働者間の競争を排除しつつ, 標準労働日の設定とその短縮を求めてきた。他方,資本主義の発展は機械化と生産の効率化を推し進め,労働力の効率的利用を図るようになったから,雇用主のほうも過度の長時間労働は避けさせるようになった。こうして 20 世紀になって,1919 年には ILO 国際条約で8 時間労働制が確立されたのである。

 なお,また日常用語としては,労働者が労働力を資本家に提供する日,法的には,労働契約上労働義務のある日をいう。 ⇒労働時間

大塚 忠                                 (世界大百科事典)

▲3月30日に誤字を訂正しました。


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by shihonron | 2008-01-22 00:00 | 学習会の報告


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