『資本論』を読む会の報告

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2005年 11月 22日

第2回 11月22日(火)

                             
 11月22日(火)に『資本論』を読む会@所沢 第2期 第2回の学習会を行いました。前回の宿題について議論し、第1版序文の第11段落から最後までと第2版の後記の最初から第8段落までを輪読、検討しました。

■前回の宿題について

1.パリサイ人とは 
 パリサイ派ともよばれるユダヤ教のセクト。ヘブライ語で「分離された者」の意。偽善者、形式主義者という意味で用いられることが多い。ここでは「偽善者」という意味で用いられていると思われます。

2.「自然」という言葉について
 「資本主義的生産の自然法則」というのは、資本主義的生産に内在する固有の法則のこと。
 国語辞典によれば、「人や物に本来的に備わっている性質」という説明とともに、哲学用語として次のように説明されています。
 〔哲〕〔nature〕古代ギリシャで、他の力によるのではなく自らのうちに始源をもち生成変化するものの意。ここから人為・作為から区別されたありのままのものの意にもなり、事物に内在する固有の本性ないしは本性的な力の意ともなる。また中世では、被造物一般のことであり、さらに神の恩寵(おんちよう)に対して人間が生まれつき具有するものを指す

3.「一八世紀のアメリカの独立戦争がヨーロッパの中間階級のために警鐘を鳴らしたように、一九世紀のアメリカの南北戦争はヨーロッパの労働者階級のために警鐘を鳴らした。」とはどういうことか
 警鐘は、戦い・災害などの、危険の迫っていることを知らせるために鳴らす鐘のこと。
 アメリカ独立戦争(1775年)は、ヨーロッパの中間階級=ブルジョアに貴族など封建勢力との戦いが迫っていることを告げ知らせた。アメリカ独立革命の後に1789年のフランス革命が続いた。
 そして、南北戦争(1861年―1865年)は労働者階級の資本家に対する戦いが迫っていることを告げ知らせているとマルクスは言っている。第11段落での「北アメリカ合衆国の副大統領ウェード氏の「奴隷制の廃止のつぎには資本関係と土地所有関係との変革が日程にのぼるだろう」という発言の紹介もこうした流れの中でのものだ。

【労働者の闘いの歩み】

1811―1817ころ ラッダイト運動

1837- チャーチスト運動

1861 南北戦争始まる

1863 アメリカでの奴隷解放  ラッサール、全ドイツ労働同盟をつくる

1864 第一インターナショナル創立大会

1867 『資本論』第1巻初版刊行

1868 明治維新

1871 パリコミューン成立 イギリス労働組合法制定 ドイツ帝国成立

1872 第一インター ハーグ大会

1875 ドイツ社会主義労働者党成立 ゴータ綱領採択

4.「自然史的過程」の意味
 「経済的社会構成の発展を一つの自然史的過程と考える私の立場」というのは、経済的社会構成の発展を人間の意識から独立した客観的な発展過程と考える立場ということだろうということになりました。
 国語辞典では「自然史」は次のように書かれています。
、(1)〔哲〕〔(ドイツ) Naturgeschichte〕弁証法的に発展する自然を歴史的にとらえるマルクス主義の概念。自然は意識や意志の外に独立して存在し、社会の発展も同様な自然史的過程であるとされる。
(2)〔natural history〕博物学。ナチュラル-ヒストリー。

 「岩波小事典 哲学」では「自然史」を「原語は博物学の意味にもなるが、この用法は今日ではすたれている。観念論では人間を自然の目的と見て、人間との関係では自然に歴史的意味を与えるが、マルクス主義はかような目的論を拝し、自然科学の成果に基づいて、自然を弁証法的に発展するものとして歴史的にとらえるばかりでなく、社会の発展も、人間の意志や意識に依存せぬ法則によって発展する自然史的過程としてとらえる。」と説明しています。

■第1版序文について

 第11段落で「経済学の領域では、自由な科学的研究は、他のすべての領域におけるのと同じ敵に出会うだけではない」と書かれているが、「他のすべての領域におけるのと同じ敵」とは何かが議論になりました。
 自然科学においても、天動説が教会から弾圧されたといったことではないかという意見が出されました。現在のアメリカでも、進化論に反対する「理性による自然創造」という宗教的教育さえ一部では行われているという発言や、考古学の研究を進めるうえで天皇陵の発掘・調査などは大きな意味をもっっているが、宮内庁は認めようとしないという発言もありました。

 また「とはいえ、ここにもある進歩があることは見落とせない」と書かれているが。「ある進歩」の内容は何かとの疑問が出され、この段落の最後に書かれている「現在の社会は決して固定した結晶体ではなく、変化することの可能な、そしてつねに変化の過程にある有機体なのだという予感が、支配階級のあいだにさえ起こり始めている」ということであることを確認しました。

 さらに、ここで「有機体」という言葉が出てくるが、どういう意味かが議論されました。
 「生きている」とか「生命を持っている」という意味ではないかという発言がありました。これと関連して「資本の有機的構成」の「有機的」とはどういう意味かとの疑問も出され、次回までに調べてくることになりました。

■第2版後記について 

 以下のいくつかの事柄について次回までに調べたり、まとめたりしてくることになりました。

1.普仏戦争 (第4段落)
2.ドイツ統一の歴史 (第4段落)
3.ドイツにおける資本主義発展の特徴 (第5-6段落)
4.古典派経済学の主要な代表者と特徴 (第7段落)
5.神聖同盟 (第8段落)
6.穀物法 (第8段落)
7. 「1830年になって、一挙に事を決定する危機が現れた」と書かれているが、どんな事件のことを指しているのか。 (第8段落)



【資料】

●第1版で価値形態論の「二重の記述」とは。
 第1版の一部は国民文庫『資本論第1巻 初版 第1章および付録「価値形態」』として出版されている。その目次は次のようなものである。-
-------------------------------------------------------------------------
第1章 商品と貨幣 
 (1)商品 
 (2)諸商品の交換過程 
 (3)貨幣または商品流通  
   A諸価値の尺度  
   B流通手段 
   C貨幣

第1章(1)への付録 価値形態
-------------------------------------------------------------------------

一方、現行版の目次は次のようになっている。
-------------------------------------------------------------------------
第1篇 商品と貨幣
 第1章 商品
  第1節 商品の二つの要因 使用価値と価値(価値実体 価値量)
  第2節 商品に表される労働の二重性
  第3節 価値形態または交換価値
  第4節 商品の呪物的性格とその秘密
 第2章交換過程
 第3章貨幣または商品流通
  第1節 価値尺度
  第2節 流通手段
  第3節 貨幣
-------------------------------------------------------------------------

 価値形態論は、本文と付録で展開されており「二重の記述」となっている。

 また、初版の「章」は「篇」に変えられ、初版では節などの区切りがなく書かれていた部分が、いくつかに分割され読みやすいものになっている。
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by shihonron | 2005-11-22 23:00 | 学習会の報告
2005年 11月 18日

第1回 11月15日(火)


 最初に、『資本論』がどのように計画され、出版されたかを概観し、第1版序文の第10段落までを輪読、検討しました。

■『資本論』はどのように計画され出版されたか

当初の計画
第Ⅰ部 資本の生産過程
第Ⅱ部 資本の流通過程
第Ⅲ部 総過程の諸姿容
第Ⅳ部 理論の歴史のために

はじめの3部が理論的部分、第Ⅳ部が歴史的・批判的または歴史的・文献的部分。

当初の計画では、全4部が2巻にまとめて一度に出版されるはずだったが、マルクスの生前に刊行されたのは、第Ⅰ部「資本の生産過程」を含む第1巻だけ。

第1版 1867年
第2版 1872-73年
著者校閲フランス語版 1872-75年

第Ⅱ部と第Ⅲ部は、マルクスの死後、遺稿をもとにエンゲルスの編集によって出版された。

第2巻「資本の流通過程」
第1版 1885年

第3巻「資本主義的生産の総過程」
第1版 1894年

第Ⅳ部は、はじめカウツキーの編集で独立の著作『剰余価値学説史』3巻として出版された。 1905-1910年

より完全な新版がマルクス=レーニン主義研究所(ベルリン)の編集によって『資本論』第4巻(3冊)として刊行された。 1956-62年

『資本論』の理論的部分全3部の現行版(マルクス=レーニン主義研究所編集『マルクス=エンゲルス全集』版の底本となっているのは

第Ⅰ部 (『全集』23巻) エンゲルス編集 第4版 1890年
第Ⅱ部 (『全集』24巻) エンゲルス編集 第2版 1893年
第Ⅲ部 (『全集』25巻) エンゲルス編集 第1版 1894年


■内容要約

経済的諸形態の分析では、抽象力が自然科学における顕微鏡や化学試薬の代わりをする。

ブルジョア社会にとっては、労働生産物の商品形態または商品の価値形態が経済的細胞形態である。

この著作の課題は、資本主義的生産様式、これに対応する生産関係と交易関係の研究である。

●疑問が出されたり、議論になったこと
・第3段落
「貨幣形態をその完成した姿とする価値形態は、非常に無内容で簡単である。それにもかかわらず、人間精神は二千年もまえから空しくその解明に努めてきたのであり、しかも他方ではこれよりずっと内容の豊富な複雑な諸形態の分析に、少なくともだいたいのところまでは、成功したのである。なぜだろうか? 成育した身体は身体細胞よりも研究しやすいからである。そのうえ、経済的諸形態の分析では、顕微鏡も化学試薬も役にはたたない。抽象力がこの両方の代わりをしなければならない。ところが、ブルジョア社会にとっては、労働生産物の商品形態または商品の価値形態が経済的細胞形態なのである。」という部分について

 「ずっと内容の豊富な複雑な諸形態」とはどんなもののことかという質問が出されました。分業、工場や銀行、地代や資本などではないかという発言がありましたが、はっきりとはしませんでした。

 またここでは、社会科学と自然科学の区別を述べており、経済学においては抽象力がとても重要であることを確認しました。

・第5段落
 この著作の課題が資本主義的生産様式とこれに対応する生産関係と交易関係の研究であることを確認しました。

 「パリサイ人」とは何なのかが問題になり、時間までに調べることになりました。

・第6段落
 ここで「資本主義的生産の自然法則から生ずる社会的な敵対関係」と述べられているが、資本主義的生産という社会的な事柄なのに、なぜ「自然法則」という言葉が用いられているのかという疑問が出されました。

・第9段落
「一八世紀のアメリカの独立戦争がヨーロッパの中間階級のために警鐘を鳴らしたように、一九世紀のアメリカの南北戦争はヨーロッパの労働者階級のために警鐘を鳴らした。」とはどういうことかという疑問が出され、次回までに調べて考えてくることになりました。

・第10段落
「資本家や土地所有者の姿を私はけっしてばら色の光の中に描いてはいない。しかし、ここで人が問題にされるのは、ただ、人が経済的諸範疇の人格化であり、一定の階級関係や利害の担い手であるかぎりのことである。経済的社会構成の発展を一つの自然史的過程と考える私の立場は、ほかのどの立場にもまして、個人を諸関係に責任あるものとすることはできない。というのは、彼がどんなに諸関係を超越していようとも、社会的には個人はやはり諸関係の所産なのだからである。」

 ここで「経済的諸範疇の人格化」という表現があるが、この「経済的諸範疇」とは何かが問題になりました。「資本家は、資本の人格化といったこと」という発言があり、商品、貨幣、資本、などのことだろうということになりました。

 また「自然史的過程」の意味が問題になりました。人間の意志からは独立した過程、言い換えれば客観的過程という事ではないかという意見が出ましたが、次回もう一度議論することになりました。 





 
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by shihonron | 2005-11-18 08:11 | 学習会の報告
2005年 11月 10日

第2期がスタートしました

ホームページを見て大学生の方が新しく参加されました。
相談した結果、最初のところから読みすすめていくことになりました。

第1期の報告は、途中からとても簡単なものになってしまいましたが、第2期の報告は、ていねいなものにしていきたいと思っています。

感想や意見、批判なども掲示板に書き込んでいただければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
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by shihonron | 2005-11-10 20:00 | おしらせ