2009年 08月 11日
8月11日(火)に第155回の学習会を行いました。前回の復習をした後、「第3章 貨幣または商品流通 第2節 流通手段」の第13段落から第15段落までをレポーターの報告をもとに検討しました。 前回の復習では、7月28日に配布されたレジュメで第11段落の《分業は、労働生産物を商品に転化させ、そうすることによって、労働生産物の貨幣への転化を必然にする。同時に、分業は、この化体が成功するかどうかを偶然にする。とはいえ、ここでは現象を純粋に考察しなければならず、したがってその正常な進行を前提しなければならない。そこでとにかくことが進行して、商品が売れないようなことがないとすれば、商品の形態変換は、変則的にはこの形態変換で実体――価値量――が減らされたり加えられたりすることがあるにしても、つねに行なわれているのである。》という記述について《「その正常な進行」とは「価値どおりに売れる(商品が貨幣に転化する)こと」という意見だろう。》と書かれていたことについて疑問が出され議論されました。その結果、ここでの課題は、商品の形態変換であり、「その正常な進行」は「売れる(商品が貨幣に転化する)こと」と理解すべきだとの結論になりました。 以下、段落毎にレジュメの内容と議論の報告を掲載します。 ●は議論の報告、■は資料、★は報告者によるまとめや意見、問題提起です。 第二節 流通手段 a 商品の変態 第13段落 貨幣所有者として登場できるのは、①金の生産者であるか、②すでに自分の商品を売っていて、貨幣を手にしている場合。 ①の場合は、金の産現地で、商品市場に入る。 金は、直接的労働生産物として同じ価値を持つ他の労働生産物と交換される。この瞬間から金は、常に実現された商品の価格を表す。 ②の場合は、金はどの商品の所有者の手中においても、譲渡された彼の商品の脱皮した姿態 であり、販売すなわち第一の商品変態W-Gの産物である。 貨幣を見ても、その貨幣に転化した商品がどのようなものであるかはわからない。 W リンネル - G貨幣 - W 聖書 の考察。 (1) 最初の局面 W-G リンネルの売りは、同時に小麦の生産者の運動W-G-W(小麦-貨幣-リンネル)の運動の最後の局面である。 (2) リンネルの販売は、聖書の購買によって終わる1つの運動を開始する。 こうして、1つの商品の第一の変態(W-G)は常に同時に別の商品の、第二の対立的な変態(G-W)である。 ●金の生産者について述べているのはなぜだろうとの疑問が出されました。「一般には商品生産者は自分が生産した商品を売って金(貨幣)を手にするが、金の生産者の場合には、こうした過程を経ることがないこと、貨幣である金がどのように商品市場に入るのかを明らかにしているのではないか」との発言がありました。 ■《金が貨幣として機能するためには、それはどこかの点で商品市場にはいらなければならないが、その地点は言うまでもなく金の生産源である。そこでは、金は貨幣としてでなく、たんなる労働生産物として、同じ価値の他の労働生産物と交換される。だから金生産者から見れば、この取引は直接的な生産物交換なのであるが、しかし、金と引き換えに金生産者に商品を譲渡する商品所持者の側から見れば、この取引は、彼の商品の価格を実現する販売である。この取引は、販売だけがあってそれに対応する購買のない独特な取引なのである。 ここで金は、社会的必要労働時間によって規定された或る大きさの価値をもった商品として登場する。そして、この交換を経るやいなや、金はすでに実現された商品価格なのであって、これ以後はつねに、実現された商品価格として商品市場にあるのである。》 (大谷禎之介「貨幣の機能」265頁 「経済志林」第61巻第4号 1994年) 第14段落 G-W、商品の第二の変態、購買、最後の変態 貨幣は他のすべての商品の脱皮した姿態であり、絶対に譲渡されうる商品である。 商品は、貨幣の生成のうちに消失するから貨幣を見ても、何が貨幣に転化したかはわからない。 第15段落 G-W購買は同時に、W-G販売である。 1つの商品の最後の変態は、同時に別の商品の最初の変態である。 リンネル-貨幣-聖書、の最後の局面G-W購買は、同時にW-G販売である。 つまり、W-G-W(聖書-貨幣-安ウィスキー)の、最初の局面である。 商品生産者は、一面的な生産物だけを供給するが、彼は、自分の諸欲求を満たすために、多数の購買をする。 一つの商品の最後の変態は、他の商品の最初の諸変態の総和である。 ★売りと買いの絡み合いは、図示すると分りやすい。 (A) 小麦――貨幣――リンネル (B) リンネル――貨幣――聖書 (C) 聖書――貨幣――ウィスキー
by shihonron
| 2009-08-11 23:30
| 学習会の報告
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