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『資本論』を読む会の報告

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2010年 01月 05日

第172回 1月5日 第5章 労働過程

1月5日(火)に第172回の学習会を行いました。
前回学習した箇所と関連して「第2編のタイトルは〈貨幣の資本への転化〉となっているが、実際に貨幣が資本に転化することを明らかにしているとはいえないのではないか。生産過程での剰余価値の生産によって貨幣は資本に転化する。その内容は第5章で展開されている。それは第2章のタイトルが〈交換過程〉となっていても実際の交換過程の内容については〈第3章第2節流通手段a商品の変態〉で展開されているのと同様に思える」との意見が出されました。これに対して「すべてのことを一挙に明らかにすることはできないので、叙述が進むに連れて説明の内容が豊かになるとはいえるが、第2編ではまず資本の一般的定式を取り上げ、その矛盾を明らかにすることを通じて、労働力という独特な商品の存在が貨幣の資本への転化を可能にすることを説いている。そこではまだ生産過程のなかでどのようなことが行われるかについて詳しい説明は与えられていないが、貨幣の資本への転化について書かれていないというのはどうかと思う」、「第2編の内容を表すタイトルとしては〈貨幣の資本への転化の前提〉がふさわしいと言うことだろうか。」との発言がありました。〈第2章交換過程〉のことも含めて検討することを今後の課題としました。

「第5章第1節 労働過程」の第1段落から第6段落までをレジュメに基づいた報告を受けて検討しました。

 問題になったのは、「土地」をどのようにとらえればいいのかということでした。「単に土地=地面というよりは、大地とか地球や自然といった感じではないか」との発言がありました。土地については次のように述べられていますが、調べてみると、土地と訳されている単語は英語版ですべてが同じではありませんでした。

「人間のために最初から食料や完成生活手段を用意している土地(経済的には水もそれに含まれる)は、人間の手を加えることなしに、人間労働の一般的対象として存在する」(第4段落)
The soil (and this, economically speaking, includes water) in the virgin state in which it supplies [1] man with necessaries or the means of subsistence ready to hand, exists independently of him, and is the universal subject of human labour.
■英語版ではsoil―土, 土壌; 農業; 土地; 国; (悪の)温床。

「土地は彼の根源的な食糧倉庫であるが、同様にまた彼の労働手段の根源的な武器庫でもある。それはたとえば彼が投げたりこすったり圧したり切ったりするのに使う石を提供する。土地はそれ自身一つの労働手段ではあるが、それが農業で労働手段として役立つためには、さらに一連の他の労働手段とすでに高度に発達した労働力とを前提する。」(第5段落)
As the earth is his original larder, so too it is his original tool house. It supplies him, for instance, with stones for throwing, grinding, pressing, cutting, &c. The earth itself is an instrument of labour, but when used as such in agriculture implies a whole series of other instruments and a comparatively high development of labour.
■英語版ではthe earth――(普通the 〜) 地球; この世, しゃば, 俗界; (the 〜) 世界中の人々; 陸地, 大地; 地面; 土;

「もっと広い意味で労働過程がその手段のうちに数えるものとしては、その対象への労働の働きかけを媒介ししたがってあれこれの仕方で活動の導体として役だつ物のほかに、およそ過程が行なわれるために必要なすべての対象的条件がある。それらは直接には過程にはいらないが、それらなしでは過程はまったく進行することができないか、またはただ不完全にしか進行することができない。この種類の一般的労働手段はやはり土地そのものである。なぜならば、土地は、労働者に彼の立つ場所[ locus stand]を与え、また彼の過程に仕事の場所[field of employment]を与えるからである。この種類のすでに労働によって媒介されている労働手段は、たとえば作業用の建物や運河や道路などである。」(第6段落)
In a wider sense we may include among the instruments of labour, in addition to those things that are used for directly transferring labour to its subject, and which therefore, in one way or another, serve as conductors of activity, all such objects as are necessary for carrying on the labour-process. These do not enter directly into the process, but without them it is either impossible for it to take place at all, or possible only to a partial extent. Once more we find the earth to be a universal instrument of this sort, for it furnishes a locus standi to the labourer and a field of employment for his activity. Among instruments that are the result of previous labour and also belong to this class, we find workshops, canals, roads, and so forth.
■英語版ではthe earth―(普通the 〜) 地球; この世, しゃば, 俗界; (the 〜) 世界中の人々; 陸地, 大地; 地面; 土;

by shihonron | 2010-01-05 23:30 | 学習会の報告


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