2010年 04月 20日
第1段落 ・労働過程は、まず第一に、その歴史的諸形態にはかかわりなく、人間と自然とのあいだの過程として、抽象的に考察された(第5章を見よ)。 ・そこでは次のように述べられた。 ・「労働過程全体をその結果の立場から見れば、二つのもの、労働手段と労働対象とは生産手段として現れ、労働そのものは生産的労働として現れる。」 ・そして、註7では次のように補足された。 ・「このような生産的労働の規定は、単純な労働過程の立場から出てくるのであって、資本主義的生産過程についてはけっして十分なものではない。」 ・これが、ここではもっと詳しく展開されるのである。 ★資本主義的生産過程における生産的労働がどのようなものであるかを詳しく展開することが課題。 第2段落 ・労働過程が純粋に個人的な過程であるかぎり、のちには分離していく諸機能のすべてを同じ労働者が一身に兼ねている。 ・彼は、自分の生活目的のために自然対象を個人的に獲得する場合には、自分自身を制御【control】する。 ・のちには彼が制御される。 ・個々の人間は、彼自身の筋肉を彼自身の脳の制御のもとに活動させることなしには、自然に働きかけることはできない。 ・自然の体制【生来の人体】では頭と手が組になっているように、労働過程は頭の労働と手の労働とを合一する。 ・のちにはこの二つが分離して、ついには敵対的に対立するようになる。 ・およそ生産物は、個人的生産者の直接的生産物から一つの社会的生産物に、一人の全体的労働者の共同生産物に、すなわち労働対象の取り扱いに直接または間接に携わる諸構成員が一つの結合された労働要員の共同生産物に、転化する。 ・それゆえ、労働過程そのものの協業的性格につれて、必然的に、生産的労働の概念も、この労働の担い手である生産的労働者の概念も拡張されるのである。 ・生産的に労働するためには、もはやみずから手を下すことは必要ではない。 ・全体的労働者の器官であるということだけで、つまりその部分的機能のどれか一つを果たすということだけで、十分である。 ・前に述べた生産的労働の本源的な規定は、物質的生産の性質そのものから導き出されたもので、全体として全体労働者については相変わらず真実である。 ・しかし、個別に見たその各個の成員には、もはやあてはまらないのである。 ・ ■【制御】[名](スル) 1 相手を押さえて自分の思うように動かすこと。「欲望を―しきれない」 2 機械・化学反応・電子回路などを目的の状態にするために適当な操作・調整をすること。「運転を自動的に―するシステム」(デジタル大辞泉) 第3段落 ・ところが、他方では、生産的労働の概念は狭くなる。 ・資本主義的生産は単に商品の生産であるだけではなく、それは本質的に剰余価値の生産である。 ・だから、彼がなにかを生産するというでは、もはや十分ではない。 ・彼は剰余価値を生産しなければならない。 ・生産的であるのは、ただ、資本家のために剰余価値を生産する労働者、すなわち資本の自己増殖に役立つ労働者だけである。 ・物質的生産の部面の外から一例をあげることが許されるならば、学校教師が生産的労働者であるのは、彼がただ子供の頭に労働を加えるだけではなく起業家を富ませるための労働に自分自身をこき使う場合である。 ・この企業家が自分の資本をソーセージ工場に投じないで教育工場に投じたということは、少しもこの関係を変えるものではない。 ・それゆえ、生産的労働者の概念は、けっして単に活動と有用効果との関係、労働者と労働生産物との関係を包括するだけではなく、労働者に資本の直接的増殖手段の極印を押す一つの独自な社会的な、歴史的に成立した生産関係をも包括するのである。 ・それゆえ、生産的労働者だということは、少しも幸運ではなく、むしろひどい不運なのである。 ・本書のなかでも理論の歴史を取り扱う第4部では、古典派経済学はもとから剰余価値の生産を生産的労働者の決定的な性格としていたということが、もっと詳しく示されるであろう。 ・それゆえ、経済学が剰余価値の性格をどのように把握したかにしたがって、その生産的労働者の定義も違ってくるのである。 ・たとえば、重農学派は、ただ農耕労働だけが剰余価値をもたらすのだから、ただ農耕労働だけが生産的だ、と言う。 ・だが、重農学派にとっては、剰余価値はただ地代という形態だけで存在するのである。 ■【包括】 ひっくるめてひとつにまとめること。 ★生産的労働の本源的規定(第一の意味)とは「使用価値を生産する労働としての生産的労働」である。第二の意味(形態的規定)は「剰余価値を生産する労働としての生産的労働」である。 ■重農学派は「政治算術的な方法にもとづいて国民の経済生活に実証的な分析を加え、そこから一つの物理的法則すなわち資本の再生産の秩序をさぐり出そうとしたのである。この秩序はまず社会の構成を機能的に地主階級と生産階級たる(借地)農業者の階級と不生産的階級たる商工業者の階級に三分し、農業のみが生産的であること、したがって農業生産においてのみ剰余価値たる純生産物が創出されること、この創出された純生産物が年々地代として地主階級に支払われ、その収入を形成することを前提とし、さらに取引における自由と経営資本の所有権の完全な保証とが存するばあい、商業国間に通用する恒常的な平均価格の存立を基礎として、農業者の経営資本がいかに流通過程における転形(W'―G'―W…P…W')を経つつ純生産物を産出し同じ規模の単純再生産を繰り返すのかの、構想となって実を結ぶ。」(『資本論辞典』388頁) 第4段落 ・労働者がただ自分の労働力の価値の等価だけを生産した点を超えて労働日が延長されること、そしてこの剰余労働が資本によって取得されること――これは絶対的剰余価値の生産である。 ・それは、資本主義体制の一般的な基礎をなしており、また相対的剰余価値の生産の出発点をなしている。 ・この相対的剰余価値の生産では、労働日ははじめから二つの部分に分かれている。 ・すなわち、必要労働と剰余労働とに。 。剰余労働を延長するためには、労賃の等価をいっそう短時間に生産する諸方法によって、必要労働が短縮される。 ・絶対的剰余価値の生産はただ労働日の長さだけを問題にする。 ・相対的剰余価値の生産は労働の技術的諸過程と社会的編成とを徹底的に変革する。 ★絶対的剰余価値の生産は、労働日が必要労働時間と剰余労働時間の二つの部分に分かれるということでもある。相対的剰余価値の生産の出発点は、労働日が必要労働時間と剰余労働時間の二つの部分に分かれていることである。 ★「労働の技術的諸過程」とは、科学の応用、機械の採用などのことであろう。また「労働の社会的編成」とは、生産過程での労働者の社会的結合(協業や分業)のことであろう。 ■《機械としては労働手段は、人力のかわりに自然力を利用し経験的熟練のかわりに自然科学の意識的応用に頼ることを必然とするような物質的存在様式を受け取る。マニュファクチュアでは社会的労働過程の編制は純粋に主観的であり、部分労働者の組合せである。機械体系では大工業は一つのまったく客観的な生産有機体をもつのであって、これを労働者は既成の物質的生産条件として自分の前に見いだすのである。単純な協業では、また分業によって特殊化された協業にの場合さえも、個別的な労働者が社会化された労働者によって駆逐されるということは、まだ多かれ少なかれ偶然的なこととして現われる。機械は、のちに述べるいくつかの例外を除いては、直接的に社会化された労働すなわち共同的な労働によってのみ機能する。だから、労働過程の協業的性格は、今では、労働手段そのものの性質によって命ぜられた技術的必然となるのである。》(国民文庫第2分冊268-269頁・原頁407)
by shihonron
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