『資本論』を読む会の報告

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2010年 11月 02日

第23章 第5節のレジュメ その1

第二三章   第五節 資本主義的蓄積の一般的法則の例解 
                            
    a 1846~1866年のイギリス
①近代社会のどの時期を見ても,最近の20年間ほど資本主義的蓄積の研究に好都合な時期はない。 すべての国のうちで典型的な実例を提供しているのはイギリス。イギリスは世界市場で第一位を 維持----資本主義的生産様式が十分に発展。生産の巨人的前進,しかもこの20年間の後半はまた    その前半をはるかに越えるということは,第四篇で十分に示唆。

②最近の半世紀間のイギリスの人口の絶対的増加は非常に大きかったにもかかわらず,その相対的 増加すなわち増加率は引き続き減少。

③別の面から富の増加を見る----最も確かな手がかりになるのは,所得税を課される利潤や地代な どの変動。課税される利潤(農業者やその他いくつかの項目は含まれていない)の増加は,大ブ リテンでは1853年から1864年までに50.47% (すなわち年平均4.58%),同じ期間の人口の増加 は約12%。課税対象になる土地(家屋,鉄道,鉱山,漁場などを含む)の賃貸料の増加は,1853年か ら1864年までに38%,すなわち年々3 5/12%。

④1853~1864年の期間の各4年間を比較すれば,所得の増加度は絶えず増大。
       利潤から生ずる所得の増加度  連合王国の課税所得の総額
1853~1857年   年々1.73%         £307,068,898(1856年)
1857~1861年   年々2.74%         £328,127,416(1859年)
1861~1864年   年々9.30%         £351,745,241(1862年)
                       £359,142,897(1863年)
                       £362,462,279(1864年)
                       £385,530,020(1865年)

⑤資本の蓄積は同時に資本の集積と集中とを伴った。
・1851年から1861年までに100ac.未満の借地農場は31,583から26,567に減少。
・相続税を課された100万ポンドを越える動産の増加。
・集中が最もよく推測されるのは,課税所得の増加と配分(s.680表)

⑥19C中葉の連合王国----生産額の増加についての統計(石炭,銑鉄,鉄道,総輸出入額)

⑦イギリスの戸籍長官の勝利の叫び。
 「人口は急激に増加したとはいえ,産業や富の進展には追いつかなかった。」

⑧グラッドストン(1843年2月13日の下院演説)
 「人民の消費力が減退し,労働者階級の窮乏や貧困が増大しているのに,それと同時に上層階級で は不断の富の蓄積と資本の不断の増大とが行なわれているということは,この国の社会状態の最 も憂欝な特徴の一つである。」

⑨20年後の1863年4月16日の予算演説。
 「1842年から1852年までのあいだにこの国の課税所得は6%増加した。1853年から1861年までの8 年間には,それは20%増加した。信じられないほど驚くべきもの,人を酔わすような,富や力の増 加も----有産階級だけに限られている。----しかし,それは一般に消費される品物を安くするの だから,労働者人口にとっても間接の利益----富者はますます豊かになったが,貧者もまた貧しさ を少なくしてきた。貧困の極点が軽減された。」

⑩労働者階級は相対的には相変わらず貧乏。貧困の極点は軽減されず増大。富裕の極点は増大。
・生活手段----ロンドンの孤児院の報告は,
  1851----1853年に比べて,1860----1862年の3年間の平均として20%の騰貴。
  1863----1865年,肉類,バター,牛乳,砂糖,塩,石炭,その他多数の必要生活手段の累進的な騰貴
・1864年4月7日のグラッドストンの予算演説----労働者階級の幸福を次の言葉に要約。
 「人生は十のうち九までは単なる生存のための闘争である」
⑪フォーセット教授
・「----富者は急速に富を増すが(the rich grow rapidly richer),労働者階級の安楽の増加は 少しも見られない。----労働者たちは,彼らの債権者である小売商人の奴隷になる」

⑫『資本論』労働日や機械に関する諸篇の考察対象----社会的機能を行なっているあいだの労働者。
・蓄積の諸法則の十分な解明のためには,作業場の外での彼の状態,彼の食い物や住まいの状態----, 工業プロレタリアートと農業労働者とのうちの最悪の支払を受ける部分,すなわち労働者階級の 過半をなしている部分が考察される。

⑬公認の受救貧民(労働者階級のなかでも労働力の販売という自分の生存条件を失って公共の施し 物で露命をつないでいる部分)
・イングランドでは1855年--- 851,369人,
         1856年--- 877,767人,
         1865年--- 971,433人
         1863年---1,079,382人  綿花飢饉
         1864年---1,014,978人
・1866年の恐慌⇒ロンドンの貧民増加率は,1866年には1865年に比べて19.5%,1864年に比べて24.4 %だったが,1866年に比べての1867年の最初の数か月間の増加率はもっと大きかった。
・貧民統計を分析するにあたっては次の二つの点を重視しなければならない。
 1.貧民群の干満運動は産業循環の周期的な局面変換を反映する
 2.資本の蓄積⇒階級闘争が発展⇒労働者の自覚が発展⇒受救貧民の現実の範囲について公式の統  計はますます欺瞞的になる。----最近10年間のロンドンでの飢え死にの恐ろしい増加----救貧  院=貧民刑務所の,奴隷状態

    b イギリスの工業労働者階級の低賃金層
①工業労働者階級の低賃金層
 綿花飢饉のとき1862年にドクター・スミス----疲弊した綿業労働者の栄養状態に関する調査
 飢餓病を免れるための最低の食物----まで押し下げられていたみじめな栄養量
②1863年には,枢密院は,イギリス労働者階級の最も栄養の悪い部分の窮状に関する調査を命じた。 ドクター・スミスの調査----農業労働者,絹織物工,裁縫女工,革手袋製造工,靴下編工,手袋織工, 靴工。----各部類のなかの最も健康で相対的に最良の状態にある家庭を選択することが,調査の 原則とされた。
③一般的な結果----それ以下では飢餓病が発生するという絶対的な最低限度をわずかに超過したも のは,ただ一つだけ
④農業労働者----連合王国の最も豊かな部分であるイングランドのそれが最も栄養が悪かった。-- --都市労働者部類のあいだには,もっとひどい不足。「悲惨な健康破壊的な窮乏」(資本家の 「禁欲」----労働者が露命をつなぐために欠くことのできない生活手段の支払の禁欲!)
⑤⑥ドクター・スミスによって仮定された最低限度と最困窮時の綿業労働者の栄養度とに対する純 都市的労働者部類の栄養状態の関係----ビール,牛乳,パン類,砂糖(糖蜜など),バター(脂肪  類),肉類(ベーコンなど)。大人一人当たりの一週間の食費の一般的平均。栄養の最も悪い部 類は,裁縫女工,絹織物工,革手袋製造工。

⑦ドクター・サイモン----一般的衛生報告
・栄養不足が病気を起こしたり重くしたりする場合が無数----食物を奪われるのは非常にがまんし にくいことだということ
・通例として,食物の非常な不足は,それに先だつほかのいろいろな欠乏のあとではじめて起きる-- --すべての物質的な慰安をまったく奪われている----衣料や燃料の欠乏----気候の激しさを防ぐ ための十分な設備もなく,住居の広さは病気をひき起こしたり重くしたりするほどまで減らされ, 道具や家具はほとんどなく,----清潔を保つ努力はすべて飢餓の苦痛を増すことになる。家庭は- ---排水が非常に悪く,往来の便が最も悪く,汚物の最も多い,給水が最少または最悪の地区に,そ して都市では光線や空気の最も乏しい地区にある。----これらの害悪を総計すれば生命にとって 恐ろしい大きさのものになる。----それは労働するものの貧困である。----ただ一片の食物を買 うための労働が,際限もなく延長----労働で自活ができるということは,非常に限られた意味でし か言えない----名目上の自活は,受救貧民への回り道でしかありえない

⑧最も勤勉な労働者層の飢餓的苦痛と,資本主義的蓄積にもとづく富者の粗野または優美な奢侈的 消費との内的な関連は,経済的諸法則を知ることによってはじめて明らかにされる。
・住居の状態についてはそうではない。
 生産手段の集中が大量⇒同じ空間での労働者の密集化----資本主義的蓄積が急速であればあるほ ど,労働者の住居の状態はますますみじめになる。
 富の進展に伴って,不良建築地区の取り払い,銀行や大商店などの巨大な建物の建築,取引上の往 来やぜいたくな馬車のための道路の拡張,鉄道馬車の開設,等々による諸都市の「改良」が行なわ れ,そのために目に見えて貧民はますます悪い,ますますぎっしり詰まった片すみに追い込まれる。
 住宅の高価はその質に反比例----,貧困という鉱山は,かつてポトシの鉱山が採掘された時よりも もっと多くの利潤ともっと少ない費用とで家屋投機師たちの手で採掘される。
・資本主義的蓄積の,したがってまた資本主義的所有関係一般の,敵対的な性格は,ここではあまり にも明白----イギリス政府の報告でさえも「所有とその権利」にたいする異端的な攻撃で充満。 産業の発達や資本の蓄積や都市の成長と「美化」とに伴って同じ勢いで弊害増大
・1847年から1864年までに10よりも少なくない衛生警察関係の法律
・1864年,枢密院の命令によって,農村労働者の住居事情に関する調査
 1865年には諸都市の下層貧民階級の住居事情に関する調査
・都市の住居状態について,ドクター・サイモンの一般的な記述
 「私の公の観点はもっぱら医師としてのものであるとはいえ,この弊害の別の面を無視すること は,まったく普通の人道からも許されない。この弊害が度を高めれば,ほとんど必然的に,いっさ いの細かい心づかいは無視され,肉体も肉体の諸機能も不潔にごちゃまぜにされ,性的行為はむき だしにされることになり,このようなことは,もはや野獣のものであって人間のものではない。こ のような影響のもとに置かれていることは堕落であって,それはその作用が続けば続くほど深く なって行く。このようなのろわれた運命のもとに生まれた子供たちにとっては,こののろいは無 恥への洗礼である」

⑨ぎっしり詰まった住宅,あるいはまたとうてい人間の住まいとは考えられない住宅という点では, ロンドンは第一位を占めている。----ロンドンにはおよそ20の大きな貧民窟----,それぞれに一 万人強の人間が住んでいるが,----これらの貧民窟の家屋の詰めこみすぎたぼろぼろになった状 態は,20年前よりもずっとひどくなっている----ロンドンやニューカースルの多くの地区での生 活は地獄のようだ
⑩ロンドンでは,古い街路や家屋の「改良」とそれに伴う取り払いが進み,中心部の工場や人口流入 が増加し,最後に家賃が都市地代とともに騰貴するにつれて,労働者階級のいくらかよい状態にあ る部分も,小売商人やその他の下層中間階級の諸分子といっしょに,ますますこのひどい住宅事情 の苦しみのなかに落ちこんで行く。

⑪ロンドンの地価高騰
 市内に鉄道が敷かれたために,----元の住居から追い出された一群の家族----救貧院のほかには 寄るべもなしに,さまよっている
⑫救貧院はもう超満員。もっと高い家賃を払っても,住居は,彼らが追い出されてきた悪い住居より ももっと悪くなる。
⑬ロンドンの人間荷造りの実例----その一教区では,保健吏の計算では,1ac.当たり581人だったが, しかもこれはテムズ河の半分を算入しての1ac.だった。
⑭なんという感心な資本家的正義だろうか! 地主や家主や事業家は,鉄道敷設や道路新設などの「諸改良」によって収用を受けても,十分な補償と莫大な利潤で慰められなけれはならない。労働 者は妻子や持ち物といっしょに街頭に投げ出され,そして----市当局が礼儀をやかましく言う地 区にあまり大ぜいで押しかければ,そこでは衛生警察の名でいじめられるのだ!

⑮19世紀のはじめには,イングランドには10万の人口を教える都市はロンドンのみ。5つの都市が5 万以上だった。今では人口5万以上の都市が28ある。
・都市人口の激増。金持ちは郊外に行く。これらの金持ちのあとに来る人々は,以前よりも大きな 家に移るのであるが,各室に一家族ずつで,しかも往々また借り人といっしょである。----その環 境はまことに大人にとっては堕落的であり,子供にとっては破滅的

⑯ある工業都市または商業都市で資本が急速に蓄積されればされるほど,搾取される人間材料の流 入はそれだけ急激であり,労働者の即製の住居はますますみすぼらしい。ニューカースル・アポ ン・タイン----チフスの続発や蔓延の原因が人間の過度の密集やその住居の不潔にあるというこ とは,少しも疑う余地はない。---- それらの家は,光線,空気,広さ,清潔という点では,欠乏と不 衛生とのほんとうの典型であり,およそ文明国にとっての恥辱である。
⑰ぼろ家の借り賃
⑱資本と労働とがあちこちに移動するために,一つの工業都市の住居状態は,今日はがまんのできる ものでも明日はひどく悪いものになる。----明日はぼろぼろのアイルランド人やおちぶれたイン グランドの農業労働者がいなごの大群のようにはいってくる。----穴倉や納屋----木賃宿
 ----好景気----絶えず動揺している「予備軍」または「相対的過剰人口」の波による氾濫
 地下室や小部屋には,たいていは賃金の高い労働者
・ブラッドフォードの救貧医の一人ドクター・ベル----熱病思考の恐ろしい死亡率を彼らの住居事 情によって説明。
⑲ブリストルは,住宅の貧困においてロンドンから数えて第三位を占めている。
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by shihonron | 2010-11-02 23:33 | レジュメ


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